会議にて ページ40
「というわけで、人工精霊も実在するんよ。叡智の書と同様に、この子ぉらも渡す気なんてあらへんよ」
「俺も同じだ。ベア子は俺の大事な相棒だ。あんな頭のおかしい連中になんか、手ぇ握らすのも許す気はねぇ」
アナスタシアさんとスバルの、要求に対する拒否の姿勢は絶対だ。人口精霊を渡せ、と言ったのは魔女教である。その精霊というのがベアトリスちゃんとエキドナという精霊らしい。
「彼らの要求は、一つたりとも呑むわけにはいかない。花嫁との結婚式ぐらいは、放置してもいいかもしれないけど」
「いや、それも絶対にノゥ!なぜかっていうと、そのクソ野郎が結婚しようとかクソふざけたこと言ってる相手はエミリアだから」
「ぶっ!? エミリア様さらわれてんですか!? 見かけないと思ったら避難させてるとかじゃないの!? もっと早く言ってくれませんかねえ!?」
ラインハルトさんが目を見開き、オットーさんが衝撃の事実に目を回す。
「エミリアさん…」
不安で頭がいっぱいになる。ただでさえ勝てる相手か分からないのに。
スバルというと部屋の隅に会話に混ざってこない男の方を見た。アルさんだっけか。
「アル。お前も会話に混ざってこいよ。演説終わりからお前、一言も口利いてねぇぞ。」
歩み寄り、俯いたままのアルにそう呼びかける。
「悪いが、オレぁここで抜けさせてもらうわ」
「あ?」「え?」
間抜けな声が出てしまった。そのまま立ち上がったアルさんを思わず引き止める。
「抜けるってどうしてそんな身勝手な」
「見た事あると思ったらお前さん…旅館の」
私が次に何を言おうか迷っている時、スバルも慌てて駆け寄り、アルさんを振り向かせた。
「ま、待てって! 抜けるって、どういうことだよ?今は一人でも戦力が欲しいときだってのに、お前を手放すわけねぇだろ、馬鹿か」
「…オレを戦力の当てにするなんざそれこそ馬鹿だぜ。そのへんの避難所で、戦い慣れしてる奴を連れてきた方が役に立つってもんだ。だから、オレぁいいだろ」
「よくねぇよ!急にどうしたってんだ。ガキじゃねぇんだから、何か言いたいことがあるなら言えよ」
「兄弟にだけは、それは言われたくねぇな」
引き止めるスバルの腕を振り払い、兜越しの瞳がスバルを射抜く。
その眼光と、キツく冷たい声色に絡め取られ、言われてもない私にゾッと嫌な寒気が駆け上がった。
スバルとアルさんの睨み合いが続き、そして。
「閃きました。聞いてください。君の眼差しに胸アツ」
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ゆめか(プロフ) - リリィなモモさん» コメント気づきませんでした(ToT)ありがとうございます!ゆっくりですが更新お待ちください! (2022年5月25日 13時) (レス) id: 4e65cc4844 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - 更新待ってました〜! (2022年5月22日 13時) (レス) id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
リリィなモモ(プロフ) - 面白いです! (2022年5月17日 2時) (レス) @page16 id: e604e437d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふるてぁ(プロフ) - みかんじゅ〜すさん» ありがとうございます! 転生場所を変える工夫がコメ主さんに響いて良かったです! (2021年7月17日 18時) (レス) id: 6cf9aca7da (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅ〜す(プロフ) - おぉ、おお!!めっちゃ好きです!(((こういう一緒に転生してきた系の小説だとスバル達と一緒のことが多いので、新しい感じです!!(?) (2021年7月9日 16時) (レス) id: 30ce22080f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆめか | 作成日時:2021年6月15日 19時