それでも明日は ＊4＊

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〈俺らもアーティストなわけですよ。
考えたね、うん。んで、やっぱり歌の力を
信じてみようかなって思ってさ。
ジェシーが前に歌った100％勇気とかね。
勇気が出るような曲が、いっぱいあるわけですよ〉

〈あるね〉

〈樹、めっちゃ考えてたもんね、どうしようかって〉


〈そりゃあ、もちろん悩んだよ。
詳しくは言えないんだけど、
大事な人を探してる人がいてさ、そいつらも必死なの。
そいつらにとってもめちゃくちゃ大事なやつで。

まぁ俺のひとり言なんだけどさ。

多分今、本当に足元崩れそうな人、
そいつらだけじゃなくていっぱいいると思う。
俺らも、どうにかして動きたいんだけど、
まだ動けるような状況じゃなくて、もどかしい。

俺らに出来ることなんて、本当に少なくて、
今すぐそいつらを、みんなを助けたいのに。
でも、だからって、立ち止まりたくないから。

だから、これをそいつらが聞いてるって信じて、
音楽の力ってやつを信じて、流す。


なぁ、誰か1人くらい聞いてる？

お前ら、絶対独りじゃないからな。
だから、絶対諦めんな。
下向いて良いから、泣いていいから、
絶対1人で抱え込んで、傷ついて、苦しむなよ。

お前らには、沢山の仲間がいるから〉



吸い込んだ息が、熱い。
視界は勝手に歪んで、声も勝手に出て。
気が付けば隣にいた涼太の手を握る。
涼太も痛いくらい握り返してきて、熱い。



〈…なんて、くさい事も言ってみた〉

〈HAHAHA!!イイじゃん、カッコイイ〉

〈熱いね、俺も元気でるよ〉

〈じゃあ、それでは聞いてください ＿＿＿＿ 〉



流れてきた曲に、見合わせて、2人して笑った。
この曲、誰選曲だよ、これかよ、最高だな。


「これ、覚えてる？
歌った時さ、カメラに抜かれんの遅くてさ。
横向いてる阿部ちゃん映ってんの。
俺ここだしって指さしながら、映ったんだけど一瞬」

「覚えてるよ、ちょっと凹んでたじゃん」

「凹んでねぇよ、気のせいだろ」



あの時は、まだ先輩の歌を歌ってた。
歌った時の歓声がまだ、全部自分達のものじゃなかった。
でも、それでも、歌いたくて、踊りたくて
自分達の武器を見付けて、もがいてた。



＿＿＿ この手離さずに
見守る瞳を受け止めたら 何だって出来るはず

孤独にさせない
みんなここにいる どんな事も突き抜けていこう



「そ、うだよなぁ…」



涼太と背を叩き、拳を合わせた。
多くの言葉はいらないよな、と。

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