それでも明日は ＊4＊

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「すみません、わざわざお呼び立てして…
滝沢さんさっきまでいたんですけど、
ちょっと色々やる事があるので…すみません」



久しぶりの事務所に着くと、
スタッフの人が玄関に、紙袋やダンボールを
いくつも置いて待ち構えていた。
荷物があるから、とは聞いていたものの
思っているよりも随分多い量で驚きが隠せない。

そんなスタッフさんも忙しいのか、
無事でよかったです、ではまた、と
早足で事務所に戻っていってしまった。



「量多い聞いてたけど、ほんまやなぁ…」

「ごめん、俺じゃちょっと持てなくて」

「ええよええよ！たまには頼ってぇな」

「筋トレに丁度いいくらい」



岩本くんが紙袋２つを片手に持ち、
俺はダンボールを2つ重ね、
康二も大きなダンボールを1つ持ち車に戻る。

記憶のないラウールがいることを考えて、
中身を見てから家に持っていくか決めようと
とりあえずダンボールを開けることに。



「…うっわぁ…、ほぉんまに、…っ…泣けてくるなぁ」

「…すごいな、これ」



中には、本当に色とりどりの手紙。



目黒くんへ

康二くんへ

岩本 照様

渡辺 翔太くんへ

宮舘 涼太 さま

佐久間君へ

阿部くん

深澤 辰哉 様



色んな宛名で、入っている。
書き方も、文字も勿論それぞれで、
みんなの想いがこもった、優しい手紙。



「…こっちは、ラウのだって」

「ほんまや、らうる、すごいなぁ」



岩本くんが紙袋２つを広げると、
白色の封筒がパンパンに詰められていた。
そのどれもにラウールの名前があった。

悪いな、と思うけどいくつか中身を見ると
聞こえないファンの方が勇気を貰ったこと、
映画に感動して手話を学び始めたこと、
一生懸命な姿に心打たれ、頑張れたこと、
ラウールに会いにいくんだと目標ができたこと、
色んな素敵な報告が書かれていた。

大好きだと、ありがとうと
本当に温かい言葉で埋め尽くされていた。



「…ほぉんまに、すごいな。
今年Jrにおるんやろ？難聴の子、なんか聞いたで」

「そう、ラウに憧れたんだって。
苦労するかもだけど、それでも必死に頑張ってるって。
また会ってやってって滝沢くん言ってた」

「すげぇなぁ…あいつ…ヒーローじゃん」



ここまで来るのに、平坦な道のりじゃなかった。
耳が聞こえにくくなってからの話じゃなくて
それよりも、もっとずっと前からの話。

SnowManになった時から
思い出せばキリがないくらい、あいつは泣いてた。
ずっと、ずっと、必死にもがいてた。

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