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「ねぇねぇ、ふっかさん」
「んー?どったのー?」
ふっかさんの、優しい声。
「俺ね、ふっかさんの優しいところ、大好きだよ」
「なぁに、急に」
クローゼットの方から、俺は俺は!?と
佐久間くんと康二くんの声。
目は引き出しから動かさないまま、んとね、と続ける。
「康二くんのいっぱい話してくれるとこも、
佐久間くんのみんなを元気にしてくれる力も、大好き」
「なんや照れるなぁ」
「なぁんだよ!急に!照れんじゃん!」
急じゃないよ、ずっと思ってた。
「しょっぴーの真っ直ぐな歌声も、
舘さんの料理も、雰囲気も大好き」
「ほんと急だな、まあ、でも、ありがとう」
「ありがとう、また作るよ」
また、か。
「阿部ちゃんの頑張り屋さんなところも大好き」
「ラウールに褒められると嬉しいね」
「岩本くんのストイックさも大好き」
「ラウールもじゃん」
「めめの、」
ああ、ダメだ、泣いちゃいそう。
「めめの、静かな強さも、かっこよさも大好き」
「俺もお前がかっこいいよ」
「この館、怖かったけど、俺、楽しかったよ。
みんなと宝探しなんて、夢みたいじゃん」
あの化け物がいなきゃなぁ、と佐久間くん。
みんなもそれな、と同意。
うん、それは俺も思うよ。
化け物さえいなきゃ、もっと幸せだった。
「多分ね、きっとね、ドッキリだよ」
「ええっうっそだァ!」
「嘘じゃないよ、きっとドッキリ。
だから、……だからね、今から何があっても、
泣いたり、悲しんだり、しないでほしいんだ」
「…ラウ?」
きっと、優しいみんなだから。
「自分を責めたり、後悔しないで欲しいの。
SnowManはずっと、SnowManだし、
それはずっと、これから先も変わらないから。
だから、真っ直ぐ、前向いて、歩いて欲しい」
揺れちゃダメだよ、俺。
もう、決めたんだから、みんなを守るって。
「俺、SnowManで幸せだった。
みんなが大好きだし、みんなと出会えて、
本当に、本当に、幸せだったよ」
ドアが、開く。
何百回と繰り返した世界の中で、見つけた
たった1つの正解の、答え。
〈俺が、死ぬこと〉
化け物はずっと俺を狙ってきてた。
俺に向かって一直線で、俺が生き残る世界は
いつだって誰かが死ぬことになっている。
じゃあ、俺が死ねばいい。
そうすれば、この世界は誰も欠けないはず。
単純?
それに縋りたいくらい、生きてて欲しいんだ。
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みさ(プロフ) - ぴぴろんさん» コメントありがとうございます!50ページほどあるのを一気なんて…!嬉しいです!他の作品まで!?本当にありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが、頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いします! (11月16日 9時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴろん - すごく引き込まれるお話で、一気に最後まで読んじゃいました!!他の作品も全て読ませていただきました!これからも楽しみにしています!!! (11月15日 21時) (レス) @page50 id: f81a8e6519 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - ちいさん» コメントありがとうございます!なかなか更新が滞っていて進まないお話ではあるのですが、楽しみにしていると言ってくださって嬉しいです!これからも頑張りますので、ゆっくりのんびりと待っていただけると嬉しいです!これからもぜひよろしくお願いします! (11月14日 2時) (レス) @page7 id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めまして。ラウールくんのこういうお話って中々ないので、書いてくださって嬉しいです。お話の内容も凄く引き込まれました!これからも楽しみにしています^^ (11月13日 20時) (レス) @page50 id: 55bf2eb683 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - あいはねさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいし、幸せの限りです。同時並行なんか無茶か…とも思いましたが、どれも大切な白さんなので、少しづつ大切に書いていきます。長らくお待たせしていますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年9月24日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みさ | 作成日時:2022年8月10日 1時