4話 時計の記憶[赤] ページ17
〜 Side M 〜
___ カチッ...
『もし、ここ出られたらさ、歌ってよ』
___ カチッ...
『朝焼けの花なんて、どうかな』
___ カチッ...
『きっと、出られた時の朝焼けなんて、』
___ カチッ...
『泣けるくらい、素敵なんじゃないかな』
___ カチンッ...
あれは、何だったんだろう。
あの映像の翔太は、確かにもう、息絶えていた。
死んでいた。
驚いた、そんな鮮明な〈妄想〉が出来るなんて。
ドラマの役で見た訳でもない。
なにかのアニメを見た訳でもない。
なのに確かに、翔太は死んでいたんだ。
そして、俺もいた。
俺も、そこにいた。
もうとっくに息絶えてたけど。
___ ボーン…ボーン…ボーン…
時計の鐘が鳴る。
『だてさん、しょっぴー』
ラウールが俺達を引き寄せ、手を握らせる。
『ゆりぐみは、こうでなくっちゃ』
そして、愛おしそうに頭を撫でると、
泣きそうなくらい儚い笑顔で。
『ずっと、ずっと、だいすきだよ』
何度も、何度も頭を撫でた。
多分、ラウールの傍にはもうだれもいない。
照も、ふっかも、佐久間も、阿部も、
目黒も、康二も、誰もいない。
それはこの場にいないんじゃなくて、
もう傍にいられない状況だってことは
考えなくても簡単にわかった。
『つぎは、ちゃんと、まちがえないから』
次は。
『つぎは、みんなをぜったい、まもるから』
守る。
『みんなを、かえすから』
みんなを。
『だから、まってて』
___ カチンッ…
また、時が動き始めた。
「涼太っ!!」
「___ ぁ、ごめん、ぼーっとしてた」
頬が痛い。
目の前には翔太の顔。
奥には康二や目黒が本を開け、
照と阿部が本棚を起こし、
佐久間とふっかとラウールが本を積み上げていた。
現実。
あれは、夢、だった?
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みさ(プロフ) - ぴぴろんさん» コメントありがとうございます!50ページほどあるのを一気なんて…!嬉しいです!他の作品まで!?本当にありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが、頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いします! (11月16日 9時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴろん - すごく引き込まれるお話で、一気に最後まで読んじゃいました!!他の作品も全て読ませていただきました!これからも楽しみにしています!!! (11月15日 21時) (レス) @page50 id: f81a8e6519 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - ちいさん» コメントありがとうございます!なかなか更新が滞っていて進まないお話ではあるのですが、楽しみにしていると言ってくださって嬉しいです!これからも頑張りますので、ゆっくりのんびりと待っていただけると嬉しいです!これからもぜひよろしくお願いします! (11月14日 2時) (レス) @page7 id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めまして。ラウールくんのこういうお話って中々ないので、書いてくださって嬉しいです。お話の内容も凄く引き込まれました!これからも楽しみにしています^^ (11月13日 20時) (レス) @page50 id: 55bf2eb683 (このIDを非表示/違反報告)
みさ(プロフ) - あいはねさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいし、幸せの限りです。同時並行なんか無茶か…とも思いましたが、どれも大切な白さんなので、少しづつ大切に書いていきます。長らくお待たせしていますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年9月24日 19時) (レス) id: 1fb25e0756 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みさ | 作成日時:2022年8月10日 1時