深澤先輩と私【番外編】

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その日、辰哉くんが外回りから帰ってくることはなかった。




直帰するのかな、と思ってLINEを確認しようとしたら




向こうからLINEがきていた




"宮舘先生と話してるから遅くなる"




はぁ、
無意識にため息が出た。




しかも宮舘先生って救命だからあの看護師もいるのかな




悔しくて涙が出た




彼女いないんだ、辰哉くん。




営業先でそんなこと聞かれても真面目に答えないなんてわかってはいるけど。




いる、ぐらい言えばいいのに。悲しいよ、




そう思いながらも離れられる気なんてさらさらなくて




辿りついた辰哉くんの家




私にできることなんて辰哉くんが何日か前に食べたいって言ってたオムライスを作って待ってることだけ




卵トロトロオムライスでも作って待ってようかな。




「よし、切り替えよう！」




きっと、私がランチの時に蓮くんのところに行ったから怒ってるんだ、辰哉くん。




帰ってきたらちゃんと謝って仲直りしよう、




そして彼女がいるってちゃんと看護師さんに伝えてもらうんだ、




そう自分に言い聞かせながら準備をし、




帰ってきて喜ぶ顔を想像しながらオムライスを作った




時間ばかりがすぎていって、




気づけば20時、LINEや電話が入ってもすぐわかるように




音量も最大にしていたのに




21時になっても辰哉くんからの連絡はなかった。




ねぇどうして。




先生とお話ししてるだけじゃないの？




こんなに長引くの？、




目の前にオムライスがふたつ、




オムライスがぼやけて歪んで、涙が出るのがわかる。




こんなに遅くなるなんて思ってなかったから




卵には"たつや"なんて書いてかっこわるい。




もうオムライスは完全に冷めきっていて




部屋も冷たい、私の心も冷たい。




作ったものたちにラップをかけて部屋の電気を消して。




お邪魔しました、と一言お部屋に伝えて




辰哉くんの部屋をあとにした。









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