tune.10 ページ10
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天祥院家位の家柄となれば、情報網だって広く敷いてあるだろう。私のことを調べるのもお手の物だ。基本ボーダー隊員の個人情報は公式サイト上の名前を除きがっちりと守られているが、スポンサーとなればまた違ってくるだろう。しかも今回は事が事だ。
「‥‥随分、詳しく調べられたんですね？」
「一応外部の人間を招き入れるから、調査くらいはね。あとは、純粋な興味かな」
どうぞこちらにお座りください、と伏見弓弦が促した。素直にそれに従うと、紅茶が出て来る。なんだこのブルジョワ溢れる待遇は。
ティーカップに口をつけると、紅茶の華やかな香りが口内に広がった。美味しい。
「随分感心してしまったよ。トリオンが少ないのに、努力で今の座を掴んだ。なかなかできることではないだろう？」
「‥‥ええまぁ、‥‥はい」
「それにしても、よく今回の任務を引き受けてくれたね。どうやらきみは、アイドル───いや、夢ノ咲に対して少しどろどろしたものを持っているようだし」
私は、なるべくそっとティーカップを置いた。
「‥‥それは誤解ですね。別に、夢ノ咲学院個人に対して、あなたの言う“どろどろしたもの”を持っているわけではありませんし。どろどろ、というよりも結構あっさりした感情だと自覚してるんですが。
‥‥それに‥‥真意は知りませんが、後ろ暗い何かを抱えているという点では、あなたも人のことは言えないのでは？」
「へぇ？ それはどういう意味だい？」
「───天祥院さんも、過去には傍から見ればかなりあくどいことをしてらっしゃったみたいですし。その病弱なお身体にはいささか過分でしたでしょう？」
一息ついて、もう一度ティーカップを口にする。
が、そんな私とは裏腹に姫宮桃李が「おまえ、会長に対して失礼だぞ！ それも初対面のくせに！」と烈火のごとく怒っている。蓮巳敬人も少し眉間に皺を寄せていた。
「失礼とは心外ですね。先に仕掛けてきたのはそちらでしょう」
「いやぁ、ふふふ。ごめんね。ちょっと意地悪が過ぎたね」
「‥‥いいえ。こちらこそ、スポンサーの方に対していささか暴言が過ぎました。申し訳ありません」
「出資を打ち切られたら、とは考えなかったのかい？」
「はあ、まぁ天祥院さんはどこか面白がって言っているなぁということは察したので、こちらも少し調子に乗っただけです。
ですが、突っ込むならもう少しデリケートな部分は避けていただきたかったですね」
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
