tune.9 ページ9
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「初めまして、千田Aです。しばらくの間お世話になります」
「いやいや、お世話になるのはウチだから。よろしく頼むよ」
そういえば、生徒会に顔出したか?と尋ねられ、はて、と首を傾げる。内密の任務ではなかったのか。
すると椚先生が「あぁ、説明していませんでしたね」と補足してくれる。彼は生徒会の顧問らしい。
「基本内密に動いてもらうことになりますが、何かあったときのためにプロデュース科の生徒と生徒会には話を通してあります。昼休みなら彼らもいるでしょう」
生徒会室の場所はわかりますか?という質問に頷く。どこに何の教室があるかはなんとなく把握済みだ。あとは行けばなんとかなるだろう。
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こんこん、と軽くノックすれば「入っていいよ」と穏やかな声が聞こえた。
ドアを開けると、青いネクタイ───確か2年生の色だ───を着けた生徒が振り向く。
一瞬、私を見て「ん?」という顔をしたが、すぐに思い出したのだろう。「ああ!」と中に導き入れてくれた。
「やぁ、よく来たね」
一番奥の、まさに「会長」といった感じの席に、この学院の生徒会長、天祥院英智は座っていた。
その横にいるのが「紅月」の蓮巳敬人、その反対側、会長の斜め前にいるのが姫宮桃李。そのすぐそばにいるのが伏見弓弦。2人とも会長と同じ「fine」のメンバー。そして私を招き入れてくれたのは「S1」で紅月に勝利し下剋上を果たした「Trickstar」の衣更真緒。
脳内で前情報と照らし合わせつつ、「初めまして」と会釈した。「夢ノ咲学院周辺における、近界民に関する調査・防衛のために派遣されました、ボーダーの千田Aです」
「うん、よろしくね」とにっこり笑っているが、この生徒会長、実はなかなかに曲者であることは知っている。
「ここまでは迷わずに来れたかな?」
「はい、まぁ」
「さすがだね。やはり相当な実力者なだけはある。この広い学院を迷わず歩いてこれるとは」
笑顔はそのままに、うん?と内心引っかかった。「私のことをご存知で?」
「ボーダー内のポジション別ランクでは、確か10位だったかな?
それくらいのレベルになると、戦地となる場所の把握は速いんだね」
私はメディアに顔を出したことはない。それなのにランクのことを知っている。
───あぁ、そうか。天祥院。なんでその名字を聞いてピンとこなかったのだろう。
天祥院家は、唯我ほどではないがボーダーの出資者の一人である。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです!続きがとても楽しみです! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです!更新楽しみにしております! (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…!のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏向 | 作成日時:2021年3月31日 16時