tune.31 ページ31
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「それはつまり‥‥Knightsの中の誰かが、近界民を引き寄せやすい体質であるということかしら？」
首肯したあと、そっとレオさんの顔を伺った。縮こまるように膝を抱え、一番興味を示しそうな人が最初からずっと黙っている。
「───凛月くん、朱桜くん、そしてレオ先輩が、近界民を引き寄せやすいようです。
身も蓋もないですが、護衛対象者のユニットがバラけてるよりも、1つのユニットにまとまっていたことは不幸中の幸いでした。
さすがに、一つ身で複数のユニットの動向を把握して護衛、は難しいですから」
え、俺達？と凛月くんと朱桜くんが顔を見合わせている。自覚がなかったところを見ると、どうやらこれまで近界民に追いかけ回されたといったことはなかったようだ。
「レオ先輩」
呼びかけると、びくりとその肩が震えた。
全員の視線が彼に集まり、居たたまれなさそうな顔である。
「‥‥‥」
少し考えて、瀬名さん達5人には一度保健室の外に出ていてもらうことにする。
これまた不満そうな顔をしている人がいるが、気づかないふりをした。今はこれが最善である。
後ろ手で保健室のドアをぴったりと閉め、レオさんを見た。ここ2週間ほど見てきた彼とは全く違う様子で、思いの外根深いことを悟る。
ベッドのそばに丸椅子を寄せて、視線の高さを合わせる。
「‥‥先輩、率直にお聞きします。
これまで、近界民に追いかけられたことはありますか」
数分の沈黙。
根気強く待っていると、微かに首が上下した。
「答えたくなければ、答えなくて大丈夫です。
それは、どれくらい前からですか？」
「‥‥どれくらい‥‥‥。覚えてないな」
「じゃあ、頻度とかも？」
「いや、それは‥‥。
そんなに多くはなかったけど、最近は全然」
数回の恐怖が完全にトラウマとしてレオさんに刻まれてしまったわけだ。ここまでだと記憶封印措置を検討してもいいくらいだが。
「これまで、ボーダーに助けを求めたことは？」
「ない」
「理由を聞いても？」
「色々あって、しばらくは忘れてたんだ。だから大丈夫‥‥だったん、だけど」
今回のことで昔の記憶が掘り起こされてしまったらしい。よくあることだ。
ふむ、と考える。本人が望むなら本部に連絡して協力を仰いでもいいが、あまり大事にしたくはなさそうである。
取り敢えず報告だけして、現状維持が一番良さそうだ。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
