tune.28 ページ28
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「‥‥あ、」とレオが小さく声を上げた。
近界民の口が勢いよくレオに迫るのを、Knightsの面々はただ呆然と見ているしかできず、司が小さく悲鳴を上げた。
(‥‥やばい、死ぬ)
そう距離は離れていないのに泉や司の声が遠くに聞こえ、レオは強く目を瞑る。
───とん、と軽やかな音がレオの鼓膜を震わせた。
次に、スパン、という乾いた音、かなりの質量を持った何かが地面を叩く音。
覚悟していたような衝撃がやってこないことに、恐る恐るレオは瞼を押し上げた。
まず視界に入ったのは、青緑色の、薄い透明なプラスチック板のようなもの、その向こうに、動きを止めた近界民。眼球らしきものは縦2つに割れていた。レオは、へたりとその場に崩折れる。
そろそろと視線を上げていくと、何者かが沈黙した近界民の頭に、こちらに背を向け降り立つ姿を捉えた。
「───！」
手に持つ刀を鞘に収め、その人物は近界民の上からレオを見下ろした。
逆光の中捉えたそれに、レオの思考が止まった。
「───戦場に咲く華、ですね‥‥」
司のその言葉が耳に入り、レオは我に返った。
泉、凛月、嵐も、はっとしてレオに駆け寄る。司は無意識のうちに滑り出た言葉に動揺しながらも、レオの無事を確認すべく3人の背中を追った。
◇
───間一髪、間に合った。
トリオン兵を前になぜか逃げずにいたレオさんの姿を見つけたときは肝を冷やした。
残骸から飛び降りレオさんの元へ駆け寄ると、彼を囲むように4人がいて、呆気に取られて私を見ていた。
「怪我はありませんか」
「‥‥な、い、けど」と瀬名さんが未だに呆然とした声で答える。
「良かった。少し待っててください」
警戒して空を見上げる。新しい門は開いていないようだ。トリオン兵も、あの1体きり。
本部に連絡を入れ、報告と処理班の要請をした後、換装を解いてスマホで職員室へ連絡する。
「‥‥え、ねぇ、Aちゃん？」
Knightsのものではない声に振り返ると、追いかけてきたのか羽風さんが息を切らして5人の後ろに立っていた。律儀にその手にはペットボトルが3本。
「羽風先輩、何でここに」
「そりゃ、女の子がサイレン鳴ってる方向に走ってったら追いかけてくるでしょ」
それよりさっきの、何？と些か表情を引き攣らせている。どうやら彼にも見られてしまったようだ。その疑問に答えるには、ここでは場所が悪い。何より至近距離でトリオン兵と遭遇したKnightsが心配だ。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
