tune.19 ページ19
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レッスン室には、凛月くんを除き既にKnightsが揃っていた。時間は約束ギリギリである。
「ちょっと、初対面なんだから10分前には着いておくのが普通じゃないのぉ!?」と瀬名泉がご立腹だ。
すみません、と素直に頭を下げる。これは私の落ち度だ。あの生徒たちを張り倒してでも時間を守るべきだった。
「他の生徒にしつこく絡まれてたんだよ。だから転校生は悪くないと思うけど」
「あらあら! それは災難だったわねェ。変なことされなかった?」
「される前に、凛月くんが助けてくれたから大丈夫」
「別に助けたわけじゃない‥‥。レッスンの時間が減るでしょ。珍しく俺 今日はやる気あるからさ〜‥‥」
「確かに凛月先輩が時間を守っているのは珍しいですね」
そのまま雑談が始まる流れになりそうだったのだが、瀬名泉が「はいはい!」と手を叩く。「せっかくちゃんと全員集まったんだから、時間無駄にしないでよねぇ! ‥‥ほら、王さまも!」
「ああっ! セナ、ペン返せ! せっかく霊感が湧いてきてたのに!」
部屋の隅で、背中を丸めて何やら書いていたオレンジ色───月永レオが、初めて顔を上げる。そして、こちらをじっと見詰めた。
「おまえ、誰だ!? 見ない顔だな! 宇宙人か!?」
「だからぁ、今から顔合わせするの!」
些か自由奔放が過ぎないか、この人。
予想していた人物像の斜め上を行く彼に呆気にとられる。
「ごめんなさいね、王さまはいつでもあんな感じだから」
「まぁ、自由な人には慣れてるから‥‥」
主に太刀川さんとか。
月永レオほどではなくても、彼のような自由人はボーダーにも一定数いるし、扱い方もそれなりに心得ている。
「ええと、初めまして。千田Aです。
まだ知らないことばかりですが、よろしくお願いします」
軽く会釈をして顔を上げると、よっと、と言いつつ月永レオが立ち上がり、ずいっと顔を近づけてきた。綺麗な翡翠の双眸いっぱいに、驚く私が映っている。
「あ、あの‥‥?」
「おまえ、やっぱり宇宙人か!?」
「う、うちゅ‥‥? いえ、れっきとした人間ですけど‥‥」
「そうなのか? なんかあんずとはちょっと違う感じがしたから」
彼は無邪気にそう言ってのけるが、まさかこの人勘づいたか?と内心警戒する。‥‥いや、別に警戒する程でもないのだが、自己紹介して早速バレるのは色々と気まずい。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです!続きがとても楽しみです! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです!更新楽しみにしております! (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…!のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏向 | 作成日時:2021年3月31日 16時