両想い08. ページ8
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「‥‥‥お騒がせしてしまって、すみません」
「お前が気にすんな。あいつらに無理矢理つれてこられたんだろ」
「‥‥‥まぁ、はい」
布団のそばに正座すると、土方さんは「‥‥帰らねェのか。うつすぞ」と。
「大丈夫ですよ。もともと今日は定休日ですし、暇なので」
ぐるりと部屋を見回す。
ざっと見た感じ、薬の類いはない。
「病院、行ってないんですか?」
「ただの風邪だ。寝てりゃ治んだろ」
「薬くらい飲まなきゃだめですよ。ちょっと買ってきます」
そう腰をあげると、
「‥‥いらねェ。ここにいろ」と、手をがっしり掴まれた。
「‥‥いや、でも」
「お前がいるだけでいい」
「‥‥っ、‥‥‥は、い」
このひとは無自覚でこういうことを言っているのだろうか。なんてタチの悪い。
顔に熱が集まるのを感じつつも、すとんと腰を下ろす。
しん、と部屋が静まり返る。
土方さんは目を閉じ、しばらくすると規則正しい息遣いが聞こえてきた。
いつもは皺のよっている眉間も弛んでいる。
「‥‥寝顔も、様になるなぁ」
呟き、じっと土方さんの顔を見つめる。
こんなときでないと寝顔を拝める機会はない。
「────‥‥髪の毛、さらさら」
深緑の髪に指を通せば、少しも引っ掛かることなく通り抜ける。
なんで私は病人にこんな夜這いじみたことをしているんだろうと羞恥心が沸き上がり、そっと手を離す─────前に、その手をぱしりと掴まれた。
「っう、わ、すみません、起こしちゃいましたか」
「‥‥‥元から寝てねェ」
「え」
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夏向(プロフ) - 篠宮。さん» 温かいコメント、ありがとうございます。今まで見捨てないで待っていただけて本当に嬉しいです‥‥!のんびり更新になるかと思われますが、これからもお付き合いくださいませ。 (2018年3月15日 21時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
篠宮。(プロフ) - おかえりなさい!前から好きだった作品なので、更新再開でとても嬉しいです。作者さんのペースでゆっくり頑張ってください! (2018年3月15日 17時) (レス) id: 7566c011e8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - Mさん» ありがとうございます(*^^*)更新頑張りますね! (2017年10月26日 7時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
M - 夏向@テスト期間は低浮上さん» ご自分のペースで更新なさってください。いつでも待ってますから (2017年10月25日 20時) (レス) id: ae418423e8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - Mさん» な、なんと嬉しいお言葉‥‥!とても感動しました‥‥!更新が不安定になってきていますが、今後ともよろしくお願いします! (2017年10月25日 7時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏向 | 作成日時:2017年8月7日 17時