鈴と、笑顔と、両想い。【土方十四郎】

両想い17. ページ18

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今日は、十四郎さんが非番の日である。

そういう日は、お店が終わってから屯所によくお邪魔する。

そしてそのまま食堂で一緒に夕飯をいただく、というのも最早恒例になって。
女中の方々ともかなりの馴染みになった。


私は店が、十四郎さんは真選組副長という仕事がある。
だから、一緒に過ごせるのは定休日と非番が重なった日(かなり確率は低い)か、お店の終わったあとくらいしかないのである。


だから、そういう数少ない時間を大切にしたい、という、十四郎さんの考え。



「肩、がちがちに凝ってますね」

「最近は書類仕事が多いからな‥‥‥総悟のせいで」

「お疲れ様です」


肩揉みのあとに耳掃除。
他愛のないことばかりだが、今はそれが一番幸せな時間だと思う。

十四郎さんは、私の膝に頭をのせたまま寝たり、ぼんやりしたり。

ハードワーカーな彼にとって、こういう時間は大切だ。

そのうち過労死してしまうんじゃないかと本気で心配なのだ。


「‥‥‥眠いですか？」

「若干な」

「寝てもいいですよ」


そう、顔を見下ろすと、唇に彼の人差し指が添えられた。


「いつになったら、取れる」

「え？」

「敬語は、いつになったら、取れる」


名前呼びの次はこの要求。


「これは‥‥‥もう、癖ですね」

「じゃあ、せめて二人のときは敬語(それ)外せ」

「‥‥‥‥うん、わかった」


なんだか変な気分だな。
一気に「恋人」という感じがして、気恥ずかしい。


ふ、と微笑み、目を閉じて、しばらくすると規則正しい息遣いが聞こえてきた。


寝ていたと思ったら起きていたという前科か既にあるので、もう同じ失態はしまいと、ただその寝顔を眺めるだけ。



─────こんな時間だが、一緒にいれるだけで幸せだ。


そう思ってしまう私は、とことん彼が好きらしい。


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