鈴と、笑顔と、両想い。【土方十四郎】

両想い15. ページ15

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Aさんが家に入ったのを確認し、パトカーを発進させる。


「─────‥‥‥秘密、ね」


そういえば土方さんは、姉上のことを話したのだろうか。

別にどちらでも構わないのだが。


土方さんがAさんを想うようになってから、奴はどこか迷っているように見えていた。


言うべきか、言わないべきか。


警察であり、明日も知れない身で、彼女を幸せにできるのか。

それは姉上のときも考えていて、結果、アイツは言わなかった。


姉上の幸せを考えてのことだった。


でも、今回は。

土方さんは、言った。

詳しい心情の変化なんてわからないし、別に知るつもりもない。

ただ、言わないで、それを後悔したくないという気持ちはあったのだろう。

あんときのことをもう繰り返したくねェ、と。


「‥‥‥はぁ」


奴はやっぱり気に食わねェ。

俺の大事なモン かっさらってくんだから。


向こうが動くんなら、俺だって動いてやらァ。

くっついてようがくっついてまいがそんなの俺には関係ねェ。


さっき(・・・)のは、その、せめてもの悪足掻きだ。



「‥‥‥辛(つれ)ェや、クソったれ」



あの笑顔と光景を思いだし、思わずそう呟いた。

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