鈴と、笑顔と、両想い。【土方十四郎】

両想い11. ページ11

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「‥‥‥んぁ」


寝起きに、なんとも間抜けな声が出た。
条件反射でサド王子の姿を探し、いないことに安堵した


「‥‥‥‥」


────のも、束の間。

同じ布団の中という至近距離で、すーすーと寝息をたてて眠るAを見つけ、そのあまりの近さに思わず飛び退く。



(‥‥‥あれ？ なんでこいつ寝てんだ？ つーか、俺‥‥‥)


自分のやった所業を思いだし、一人悶える。

熱のせいで理性は簡単に吹っ飛び、俺らしからぬ行為をしてしまった。

別に熱に乗じてヤらかしたわけではない。
そもそも熱で理性が飛んでも俺は多分キス止まりだ。

理由は簡単、‥‥‥俺に意気地がないからだ。士道不覚悟で切腹ものである。


「‥‥‥‥」


Aを起こさぬようそっと戻り、少しはだけた着物を視線を逸らしながら整え、布団をかけ直してやる。

枕に肘をついて頭を支え、そのままAを眺めた。


いつもは上げられているが、今日は下ろしている髪を手でそっとすく。

熱は下がったらしく、さっきまであんだけ積極的だったにも関わらず、今の俺はそれすら こっ恥ずかしい。


─────良薬は口に苦しとは言うが、苦いというより、



(─────‥‥‥甘ェ、)



「‥‥って、死ね俺ェェェ！！」



絶叫して、慌てて口を押さえるが、時すでに遅し。


「‥‥‥あれ、‥‥十四郎、さん。‥‥‥アレ？」


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