鈴と、笑顔と、一目惚れ。【土方十四郎】

一目惚れ29. ページ30

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「……す、すごい量ですね」

「そうか？これでも足りねェくらいだ」



眼前でカレーにマヨネーズをかけ始めた土方さん。

その量が予想をはるかに上回る量で、このひとの健康が真面目に心配になった。

ちょうどお昼時のフードコートは人でごった返している。

そのなかでこんなことをやってのけるのだから、やはりこのひとはすごい。


「……それ、カレーの味がしないのでは？」

「するぞ。微かに」

「カレーがメインですよ」


本来トッピングとしてかけられるはずのものがもはや主菜並みの存在感。


「マヨネーズはなんでも合う。今度やってみろ」

「あー、唐揚げにかけたことあります。美味しいですよね、あれ」

「だろ！？ マヨネーズのすごさを知らねェやつは人生損してるな」

「適量ですよ、適量！」



普段はきりっとしてる土方さんだが、こういう一面もあるということを知れて、少し嬉しくなった。

沖田さんは「あの量見たら引きますぜ」と言っていたけど、引くというよりも、


「……ギャップ萌え」


小さく口にして、少しおかしくなった。

まさか男性に向けて使う日が来るとは。


「どうした？」

「いいえ？

食べ終わったらどこ行きます？やっぱりお化け屋敷行きます？」

「……それは却下だな」


さっき知った土方さんの意外な弱点も、このひとのイメージとかけ離れたもので。




土方さんのことを知れば知るほど、───このひとに、惹かれていく。

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