一目惚れ28. ページ29
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「土方さん土方さん。次あれ、あれ乗りましょう!」
「わーったわーった、走んな、転ぶぞ」
Aはどうやら絶叫系のアトラクションが好きらしく、もうこれで乗るのは4つ目である。
店での雰囲気とは全く違い、まるで子供のようにはしゃいでいる。
ここでのこいつはただの鈴鹿Aであり、店主とその店の常連という一線を超えた関係になれたことが、少しだけこっ恥ずかしいが嬉しかった。
「土方さんもなにか乗りたいのあります?」
「もうほぼ回ったな。Aが全部乗りてェって言うから」
「え、なんかごめんなさい」
「謝るこたァねーよ。なんも悪いことしてねェだろうが。
んじゃ、次どこ行く」
「そうですねぇ……。……じゃあ、アレで」
と指差した先の看板には、
“恐怖の館”の文字。
「……いや、アレはやめておこう」
「え、なんでですか?」
「ほ、ほら……人多いし?」
「今までのほうが多かったですよ」
「今までのはお前アレ……時間が短いからすぐまわってきただろ。けどアレは時間かかるから他のが回れなくなるぞ」
我ながら苦しい言い訳だ。
……でも、でも…………、
……あ、アレに行くわけにはいかねェェェ!!!
少しの間ぱちくり目をしばたたかせたA。
「……あの、土方さんて、もしかして……」
「………………なんだ」
「……お化け、苦手ですか?」
ぐっ、と、言葉に詰まる。
じいぃっと見てくるAに仕方なく頷くと、少しだけ吹き出した。
「……なんか、可愛いところもあるんですね」
「……誉められてる気がしねェな。
………幻滅したか?」
そう問えば。
「しませんよ。むしろ、土方さんのそういう面が知れて良かったです」
満面の笑みと共にその言葉が返ってきた。
「そんな土方さんも好きですよ」
そうか、と頷きかけ。
……ん?
「……っあ、ち、違います今のはその……、………………ふ、深い意味はないですから!! 忘れてください!!」
つ、次アレ行きましょうか!! と繋がれた手を引く。
深い意味がないんなら、______なんでそんな顔赤いんだよ。
「……期待、しちまうだろーが」
柄にもなく、そう思った。
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夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 悠夏さん» さ、最高‥‥?!今度は作者に都合のいい幻覚が‥‥(笑)!とても嬉しいです!!作者は読者様のコメントに支えられてえられています!これからもよろしくお願いします! (2017年8月7日 8時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
悠夏(プロフ) - ついに、ついにですね\( ´ ▽ ` )/!もうヤバいっすわ、この作品!最高過ぎます\(//∇//)\あ”あ”あ”胸が締め付けられるようだー\(//∇//)\! (2017年8月6日 20時) (レス) id: acb4966279 (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 芽吹香さん» さ、最高だなんて……!キュンキュンしてもらえて嬉しいです(*^^*)これからも応援よろしくお願いします! (2017年7月25日 8時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
芽吹香 - ぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁすごいです!最高です!もうすごいです!(語彙力WW)たくさんのいい気持ちがドクンときます!(語彙力WWW)応援しています! (2017年7月25日 0時) (レス) id: df69819376 (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます!現在絶賛テスト中でレスをするので精一杯です……。月曜には更新しようと思ってるので、それまで気長にお待ち下さい(*^^*) (2017年7月5日 13時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏向 | 作成日時:2017年4月29日 21時