【鬼滅】鬼狩少女は今世こそ人生を謳歌したい【MHA】 (ページ19)

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１８：轟君ページ19

「…………おい」

「…！す、すみません！大丈夫ですか！？」

「……あんたこそ大丈夫なのか」

地面に座り込んでいた私に紅白の髪をした男の子は手を差し伸べてくれた。
私はお礼を言いつつ彼の手を取り立ち上がる。
この人、確か同じクラスの子だ。

「あ、ありがとう！」

「……別に」

「ねぇ、確か一緒のクラスだよね？」

「…あぁ」

「一緒に教室まで行かない？」

「…あぁ」

口数が少ない子だな……。
しかし私はそんなことでは挫けない。冨岡さんと同じようにめげずに話しかけたらいつかは仲良くなれるはず。多分。別に冨岡さんと凄く仲良しって訳ではないから何とも言えないけど。
…とりあえず自己紹介からだな。

「私、十朱Aって言うの。よろしくね！」

「…昨日の無個性の奴だろ」

「…え？う、うん…。確かに私は無個性だから君からすれば…」

「……轟焦凍」

「え？」

「…名前」

「え、あ、轟君！よろしく！」

轟君か…。予想はしてたけど会話が中々続かない。
でも仲良くなる為にも何か話しかけないと…。

「と、轟君！！」

「…何だ」

「轟君はだし巻き卵好きですか！」

「……は？」

何やってんだろう。確実に会話の選択肢間違えたよ。
好きな食べ物を聞こうとしたのに何で自分の好物の話してるんだ？
でも、でもまだ巻き返せる。まだいける。

「い、いやあのね！違うの！違うくないけど！あの、私だし巻き卵が好きでね！いやその話じゃない！その、轟君の好物は何かなって聞きたくて！」

言い訳が聞き苦しい。轟君絶対困ってるよ。どうしよう。
ふと轟君の方を見たら目をまん丸にしてこちらを見ている。こ、これはどういう表情だ…？

「…そんな事を聞いてどうすんだ」

「…？友達の好物って知りたくならない？」

私がそう言うと轟君は数秒ほど私の顔を見つめ、その後ふいっと顔を逸らした。
…き、嫌われてしまったかな…。

「……蕎麦」

…！
答えてくれた！よかった…嫌われてない…。

「…！蕎麦が好きなんだね！美味しいよね！」

「…美味い」

「うん！私冷たい蕎麦が好きだよ！」

「…俺も」

蕎麦の話で盛り上がる男女も珍しいだろうな。
でも轟君と仲良くなれるなら蕎麦の話くらい何時間でもしてやる。

私達は教室に行くまで蕎麦とだし巻き卵の話で盛り上がっていた。たまにすれ違う生徒に「(何の話してんだこいつら)」という目で見られたけど気にしない。
…とりあえず轟君が良い子そうでよかった。