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九日 ページ10

数日後。

部屋の片付けも終え、あとは此処と別れを告げるだけとなった。
同じ部屋の一員だったもの達は、皆、笑顔でいてくれたが、中里のみ半泣きだった。


「中里なんだよその顔」


「う、うるせぇえッ!」


中里は泣きじゃくりながらその言葉を拒んだ。
皆、別れだと言うのにその部屋は活気で溢れていた。


「なんだよ。永遠の別れじゃないんだし…。」


「いや、本当にそうなるかも知れんぞ?」


森畠が答えた後、後ろから口を挟んできたのはアイヌ民族である一等卒、キロランケであった。


「キロランケさん。永遠の別れになるとは、どう言う事でしょうか…?」


「なんだ。知らないのかお前ら
近頃、露と戦争になりそう噂が流れてな。

露の奴ら、こっちより優れた武器や人数で戦争を挑んでくるらしい。
次会う頃は、地獄かも知れないぞ。」
※露=ロシア


「...」


キロランケ一等卒のその言葉に、その場にいた者達は息を呑んだ。
戦争...まだ本番を経験していない新人兵士は戦争をとても恐ろしいものと感じた。

そんな事を考えていたらさらに悲しくなった中里がさらにどっと泣き出した。



「うぁぁぁっ!」

「あぁ!もう、キロランケさんが脅かすから...っ!」

「は?今の俺のせいか!?」


その部屋は別れだと言うのに、とても明るい笑い声が響き渡った。

1903年10月25日 十日目→←八日



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赤青ほとゝぎす(プロフ) - 忍者氏さん» コメントありがとうございます!はいっ勇作さんも大好きで大好きで予定より早めですが登場させました!あの笑顔って営業スマイルって呼ばれてるんですね…!(伝わってるのがすごい)笑顔がぎこちない尾形上等兵も大好きでこちらも登場させました! (2019年2月13日 18時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)
忍者氏(プロフ) - こんばんは!勇作さんでましたね…!尾形の営業スマイルが思い浮かびます笑今回のお話もとても好きです( ´∀`) (2019年2月13日 0時) (レス) id: 5510d14e32 (このIDを非表示/違反報告)
赤青ほとゝぎす(プロフ) - 忍者氏さん» こんばんは!私ニコニコ初めてだったんですが、まさか.....反応してくださるとは思ってもいませんでした(--;)そして、最近最新なくてすみません。勉強の野郎が邪魔をしてくるんです.....w (2019年2月4日 22時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)
忍者氏(プロフ) - めろんMiiです!お久しぶりです。ニコ生面白かったですね…僕もなにかコメントすればよかったです笑 (2019年2月4日 19時) (レス) id: a461264cdc (このIDを非表示/違反報告)
赤青ほとゝぎす(プロフ) - めろんMiiさん» ありがとうございます!(●´▽`●)やっぱり男前のキャラはカッコよく登場させなければと言う使命感が働きまして...^^ (2019年1月4日 14時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤青ほとゝぎす | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年12月12日 23時

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