13-11 ページ21
_
数日後
「お邪魔します」
「どうぞ、お上がり下さい」
保住が初めて部屋へやってきた。
深くかぶった帽子とサングラス、マスク
芸能人だ…
芸能人が私の部屋に…
胸が高鳴った。
「うわぁ…」
リビングへ進むと、保住が声を出して驚いた。
「あっあの、この時間ですし、もしかしたらお食事まだかと思いまして…もしお済みでしたら、どうぞお気になさらず、片づけますので」
焦ったようにしゃべるA。
体をAの方へ向けると、いきなり抱きしめた。
「えっ」
「ありがとう!!すっごく嬉しい!めちゃくちゃお腹減ってる!!つかめーっちゃ美味そう!!」
キャッキャ言いながら少し飛び跳ねた。
「よっ良かったです…」
「並木さんもまだ食べてない?」
「はい」
「はぁ、良かったぁ。一緒に食べれるっ」
「…はいっ」
一瞬見惚れてしまった。
食事中はずっと笑顔で、仕事の話もせず、何度も私の料理をほめてくれた。
男性経験の少ない私は、男性にこんなに優しくされたのが初めてで、好きになるのに時間はかからなかった。
「あぁ〜美味かったぁ。大満足ぅ、幸せ…」
「それは良かったです。ゆっくりされてて下さい」
「僕もやるよっ」
すぐにソファーからキッチンへ移動し、隣に立った。
「こういうの、ずっと夢だったんだぁ」
「夢ですか?」
「うんっ。奥さんの隣で、一緒に皿洗いしたりするの」
「そうなんですね…っ」
「あっごめん、奥さんとか言っちゃった。ただ、こういうのが憧れだったんだぁ」
「いいですね、家事を手伝ってくれる旦那様」
「そう?じゃあ僕と結婚してくれる?」
「へっ?!」
皿をシンクに落としてしまった。
「わっ。大丈夫?!」
「あっすみません、大丈夫です。」
皿を拾って洗った。
「ごめんね、びっくりさせちゃったね。でもね、実は一目惚れだったんだ。」
「え?」
「一目惚れ。並木さんに」
「え…冗談ですよね」
照れ笑いした。
「え…本当だよ?信じられない?」
「信じられません…そんな、私なんて」
「ああ、自分に自信無いんだ。だったら僕が自信つけてあげるよ。こっち向いて」
肩に手を置くと、優しくキスをした。
「信じてくれた?僕は本気だし、好きな人には自信持ってほしいな」
真っ赤になって数回頷いた。
「よしよし可愛いねっ」
頭を撫でた。
_
58人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時