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「ありがとう…」

「寝てて。食欲無いかもしれないけど少し食べなきゃ。作ってくるから」

「ごめんね迷惑かけて…」

「心配しないで、迷惑なんて思ってないよ。あ、ちゃんと寝ててね?」

「うん…」


部屋を出て行った西山。






「冷蔵庫失礼しまぁ〜す…」


小さく呟いて冷蔵庫を開け、中にあった食材でおかゆを作った。



「ん、うまい。」


味見を済ませ、トレーに用意すると、部屋へ向かった。



「入るよ〜」


ノックをして部屋に入り、トレーを置くと



「あ…いいにおい」


身体を起こしたA。



「食べれそう?」

「うん、匂いでお腹空いてきた」


そう言って笑った。



「はい、あーん」


ふぅふぅと冷ましてAの口へレンゲを運んだ。



「ん…美味しい…けど、恥ずかしいな」

「こういう時は甘えるもんだよ」

「じゃあ甘えようかな…私一人っ子で、甘え方わからないんだけど…」

「だからしっかりしてるんだね。でもこれからは頼ってよ。弟だと思ってたなら尚更。Aさんが必要なら、僕弟でもいいから」

「昨日は嫌そうだったけど…?」

「いや、本当は弟より、男として見てほしいよ?でも、弟が必要ならそれでもいいよって事だよ」


頬を膨らませて笑った西山。



「正直、今も可愛い弟って感じだけど…でも少し変わったかな」

「変わった?」

「うん。頼もしいと思った」

「そう…?」

「私が守ってあげたくなるような弟から、守ってくれる男になった感じ」

「それ…嬉しい」

「じゃあ私一人で抱えなくてもいい?」

「え?」

「私が一人で抱えきれそうにない悩みを相談しても…いいのかな」


弱弱しく言うAに、真面目に答える西山。



「もちろん、僕で良ければ何でも話して。力になりたいし」

「ありがとう…」


ベッドから出たA、カバンから母子手帳を取り出した。





「これ、見て」


西山に渡した。



「ん…?」


受け取って名前を見た。



「江口さんの?」

「わからない…」

「え?どういう事?」

「これ、私の母が持ってたの」

「え?えっ、何で」

「私も昨日初めて聞いたんだけどね…母は、私の父と結婚する前に別の人と結婚して、子供が一人いたんだって」

「…」

「前の旦那からDVを受けていて、子供は孤児院に預けたんだって。今回私が江口さんと共演して、顔を見て…もしかしてって思って調べたら、名前と生年月日がね、一致したらしいの」




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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2021年12月29日 23時

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