16-2 ページ42
_
「ありがとう…」
「寝てて。食欲無いかもしれないけど少し食べなきゃ。作ってくるから」
「ごめんね迷惑かけて…」
「心配しないで、迷惑なんて思ってないよ。あ、ちゃんと寝ててね?」
「うん…」
部屋を出て行った西山。
「冷蔵庫失礼しまぁ〜す…」
小さく呟いて冷蔵庫を開け、中にあった食材でおかゆを作った。
「ん、うまい。」
味見を済ませ、トレーに用意すると、部屋へ向かった。
「入るよ〜」
ノックをして部屋に入り、トレーを置くと
「あ…いいにおい」
身体を起こしたA。
「食べれそう?」
「うん、匂いでお腹空いてきた」
そう言って笑った。
「はい、あーん」
ふぅふぅと冷ましてAの口へレンゲを運んだ。
「ん…美味しい…けど、恥ずかしいな」
「こういう時は甘えるもんだよ」
「じゃあ甘えようかな…私一人っ子で、甘え方わからないんだけど…」
「だからしっかりしてるんだね。でもこれからは頼ってよ。弟だと思ってたなら尚更。Aさんが必要なら、僕弟でもいいから」
「昨日は嫌そうだったけど…?」
「いや、本当は弟より、男として見てほしいよ?でも、弟が必要ならそれでもいいよって事だよ」
頬を膨らませて笑った西山。
「正直、今も可愛い弟って感じだけど…でも少し変わったかな」
「変わった?」
「うん。頼もしいと思った」
「そう…?」
「私が守ってあげたくなるような弟から、守ってくれる男になった感じ」
「それ…嬉しい」
「じゃあ私一人で抱えなくてもいい?」
「え?」
「私が一人で抱えきれそうにない悩みを相談しても…いいのかな」
弱弱しく言うAに、真面目に答える西山。
「もちろん、僕で良ければ何でも話して。力になりたいし」
「ありがとう…」
ベッドから出たA、カバンから母子手帳を取り出した。
「これ、見て」
西山に渡した。
「ん…?」
受け取って名前を見た。
「江口さんの?」
「わからない…」
「え?どういう事?」
「これ、私の母が持ってたの」
「え?えっ、何で」
「私も昨日初めて聞いたんだけどね…母は、私の父と結婚する前に別の人と結婚して、子供が一人いたんだって」
「…」
「前の旦那からDVを受けていて、子供は孤児院に預けたんだって。今回私が江口さんと共演して、顔を見て…もしかしてって思って調べたら、名前と生年月日がね、一致したらしいの」
_
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2021年12月29日 23時