64話 ページ19
開いた扉の先に立っていたのは一人の男だった。
豪華なマントと服で身を包まれたその男に、二人は見覚えがある。
「…！」
Aは小さく息をのみ、ひとらんは眼光鋭く男を睨みつけた。
「ようこそ“祖国”へ。歓迎しよう」
ニタリと男の口角があがる。その言葉に秘められているのは明らかに皮肉だった。
男の名前は、ラサルノ=ドルグラド=レムラーザ。
____ラーザ王国、第十四第国王。
「…目的は何だ」
低い声でひとらんが言う。それを嘲るように見下ろすと
「これはこれは。貴方はあの“復讐鬼”ひとらんらん殿。随分と背が縮んだようですねぇ」
ニヤニヤと張り付けたような笑み。
「…黙れ。殺すぞ」
「おや、随分と物騒なお方だ。けれど_____」
ドカッ！
「___！ひとらんさん！」
「っ…ぐ」
突如としてひとらんは蹴り飛ばされ、踏みつけられ、苦しげに息をはく。
「ふん。刀を持たない貴様など牙のない獣と同じこと。立場をわきまえよ」
ラサルノは、冷徹な瞳でひとらんの上にのせた足をぐりぐりと動かす。
「やめ…っ！やめて！」
ガクリとひとらんの体から力が抜け、見ていられなくなってそう叫んだAにネットリとした視線が注がれる。
「_____そう。こんな雑魚に用はない。貴女ですよ。僕が長年探していた存在は」
絡み付くようなその視線に、Aの背筋におぞけがはしる。
「…探していた？」
「ええ。あの忘れがたい屈辱の日からずっと。_____ずっと」
ギラリとその瞳がAを捕らえる。
「あの日。反乱者達が自由を勝ち取ったその日。あの男に向けられた目。僕はそれを許さない」
その時Aが感じたのは…狂気。
「君を探すのは本当に苦労しましたよ。君のお姉さんが一切の君に関する情報を消していたのでね」
クツクツと男が笑う。
「でも、それも全て無駄な足掻き。こうして君はここにいる。あの男の唯一の弱点が、僕の手の中にある！」
「っ…何の話よ！あの男？誰のことよ！」
「_____グルッペン=フューラー」
「なっ…」
「あぁ、口に出すのも腹立たしい。ですが今はよしとしましょう。もうじきあの男は私の支配下につくのですから…！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 599人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポピー(プロフ) - もし、“お知らせ”に記されている中から選ぶのなら、トン氏で。記されていなくても良いのなら、ゾム氏をよろしくお願いします！設定が凝っていて面白いのでつい全部一気読みしちゃいました！更新頑張ってください！ (2018年11月25日 21時) (
レス) id: 8149f9681e (このIDを非表示/違反報告)
ななか(プロフ) - ロボロに一票。最近の生きがいです、ありがとうございます。 (2018年11月22日 23時) (レス) id: c06d19efdc (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - ももさん» す、素敵な文章…！？ありがとうございます…！はい、トントンさん二票目でございますね！そしてまさかのテストの応援まで…！実は真の敵は明後日だったりします(笑) (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - 柏餅さん» 回答ありがとうございます！ロボロさん一票いただきました！ (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - 白人さん» 回答ありがとうございます、トントンさん一票目です (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マロウブルー | 作成日時：2018年11月7日 17時
