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「――お逃げ。ここにいたら、殺されてしまうよ」
にゃあ。
猫はなおも鳴き続けて、まん丸い瞳でAを見上げると耳をさっとそばだてた。それから全身の毛をざっと立たせ、鼻面に皺を寄せる。はぁ、と息を吐き出し猫が睨む先に目をやった。下卑た笑みを浮かべ片手に大きな銃を持った天人が、ゆっくりと、猫の方へと歩み寄る。
「へへへ……さーて、かわいこちゃん……じぃっとしてろよ」
「――!!」
ぎゃあ、と悲鳴の後、猫は血をまき散らして倒れた。はくりと息を呑みこんで、溢れ出た鮮血を握り締める。
「あ、ア、ァアア!!」天人はそう叫んで事切れた。首に突き刺さった刃を引き抜き、死んだ天人の声を聞きつけてやって来た援軍の方へと身体を向ける。
倒れたまま、あのか細く弱弱しい声を上げていた猫の、血に濡れた毛に触れた。「もう少し早かったら、君を守れたかな」さっと脳裏を過ったのは彼らの背中だった。――もう少し早かったら、もっと強かったら……。
――――どうか、銀時たちを守ってあげてくださいね
「先生……――」
「ひゃははははッ!! 見つけたぞぉ、神薙だァ!!」
「殺せ、殺せ――」
死は突然訪れる。先頭に立っていた天人が崩れ落ちて彼らに動揺が広がる。刀を握り直し、血振りをしたAは静かに、彼らを睨み上げた。
「――私が、やらないと」
「嗚呼、ようやく見つけた」
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ルアルア(プロフ) - 無影灯さん» コメントありがとうございます!更新が遅くお待たせしてしまうことも多いかと思いますが、これからも応援していただけると嬉しいです! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - 見入っちゃいました…とても素敵なお話でした!更新応援してます! (2020年3月23日 21時) (レス) id: 26d889b496 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - 神月さん» コメントありがとうございます!ありがたいお言葉本当に感謝します...相変わらずの低浮上ですが、読者様のお言葉を励みに頑張ってまいります!! (2018年8月30日 10時) (レス) id: 61b26fbf84 (このIDを非表示/違反報告)
神月(プロフ) - 読み応えがすごくあります!次の話がとても気になります!面白いです!作者様のペースで、更新頑張ってくださいね。応援してます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 52a5891399 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ginさん» コメントありがとうございます! 更新は相変わらず遅いですが、面白いと思っていただけるような作品を目指して頑張って行きます! (2018年7月8日 9時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2018年4月7日 3時