ヤンデレ男子と告白。 ページ35
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「俺、Aのこと好きなんだよね」
「……えっ」
――――告白をされた。
相手は2年になって同じクラスになった、
最近よく話す男の子である。
放課後、先生に呼ばれたという小鳥遊を教室で待っていたところ、
やってきたのが彼だった。そして冒頭に至る。
「えっ、ってなんだよ」
「いや、吃驚して……、気持ちはめちゃめちゃ嬉しいよ、ありがとう」
「……気持ちは、ってことは、付き合えないってこと?」
私の答えが分かっていたのだろうか。
確認するような言い方に少しの違和感を覚えたがこくりと頷く。
申し訳ないが、私は誰とも付き合う気はないのだ。
ごめん、
一言そういえば、目の前の彼は『は、』と息を吐く様に短く笑う。
……それは、呆れたような、嘲笑するような。
少なくともその笑いに肯定的な感情は一切感じられなかった。
「……え、なにがおかしいの」
「…………お前が誰とも付き合わないのって、小鳥遊がいるからだろ」
「!」
突如出た幼馴染の名前に多少ながら反応してしまう。
普段当たり前のようにセットでいるから、今更彼のように直接言及してくる人もいないからだ。
「付き合ってないんだろお前ら」
「他の奴らも言ってるよ、あいつばっかでAと全然遊べねえって」
「今もあいつのこと待ってんだろ、なに、あいつに同情してんの」
同情、
同情ってなんだ。何を言っているんだ。
さっきから言葉の意味が分からない。
「……何、意味が分からないんだけど」
「あいつお前のこと好きじゃん、だからお前に付きまとってんだろ。
幼馴染だから離れられねえの?それとも何、お前もあいつが好きなの?」
仮にも好きな人相手に随分勝手なこと言うな、と他人事のように思った。
端的に言えば、イライラしていた。なんだこいつは。
だから、まあ。多少意趣返しのつもりでもあったのだが。
私もわざとらしくにっこり笑って言ってやった。
「……まあ、正直他の予定全部蹴って小鳥遊優先するくらいには好きかな。うん、超好き」
だから、心配しなくていーよ、と
これまたわざとらしくヘラヘラ笑って手を振れば、
目の前の彼はこれ見よがしに舌打ちをして去って行った。
「…………はあ、」
疲れた。
とても疲れた。
「…………小鳥遊、まだかな」
何だか無性に彼の顔が見たくなって、思わず呟く。
――――だが、その日、小鳥遊が教室に現れることは無かった。
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もぐもぐいちご(プロフ) - realさん» 返信遅れてしまってすみません;;realさんコメントありがとうございます!イラストも見ていただけて本当に嬉しいです…!これからも不定期ではありますが更新していきますのでよろしくお願い致します…! (2023年4月24日 2時) (レス) @page39 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - イラストの方から来ました!めっちゃきゅんきゅんしました(*´-`)作者さまのペースでの更新楽しみにしてます! (2023年4月10日 12時) (レス) @page3 id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - 朱まぐさん» 返信遅れてすみません…!男の子視点、ヒロインは好きな子なのでとにかくかわいく見えるように意識してたのでそこに言及して頂けるの本当にめちゃめちゃ嬉しいです…!コメントありがとうございます!これからも拙文ではありますが楽しんで頂けると幸いです! (2022年12月11日 12時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。男の子全員素敵です!9ページ目では佐藤君目線になってヒロイン可愛いと思ってしまいました!笑読んでて癒されました☺︎素敵な作品ありがとうございます。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2022年12月5日 22時) (レス) id: 0c936a9b54 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - かんずめさん» コメントありがとうございます!下でも似たようなことを書いたのですが己の生み出したキャラたちを好きと言って頂けるの、本当作者冥利に尽きます…!はちゃめちゃに嬉しいです、これからも拙い文ではありますがお付き合い頂けると幸いです…! (2022年11月16日 20時) (レス) @page22 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もぐもぐいちご | 作成日時:2022年10月30日 17時