幼馴染が強すぎる【潔世一】

委員決め ページ7

｢私やります！｣



4月の初め、どの学年も委員決めは難航するだろう

しかしうちのクラスは割とスムーズに進んでいき、

1番難航となるであろう"クラス委員"もぱぱっと決まってしまった

うちのクラスに主体性のある人がいて良かった



｢じゃあクラス委員は女子は雪代で、男子はどうする？｣



先生はそう言いつつも、視線は潔に向いたり向かなかったり

大抵この場合はくじ引きか先生からの指名制なのだが、



｢じゃあ山田くん！やろう！｣

｢え？俺？｣



雪代さんに指名されてしまった




＊




＊




早速放課後には、春休み中の課題の回収と提出を任され、

なんなら日直が日誌を書き忘れ、代わりに書くことになってしまった

面倒とも感じるが、同じく仕事をする雪代さんは楽しそうにしているため

雑談として、安易に口にも出せないのだ



｢雪代さん、なんで指名したの？｣

｢あー…やっぱり嫌だったよね、本当にごめん！｣



両手を合わせて頭を下げられる

たしかに仕事は面倒くさいが、内申点が貰えると思えば、

成績が良くも悪くもない自分にはメリットであるため

実は割と指名には感謝している方だ

委員決めの立候補の挙手は、他の人と被った時の申し訳なさと

落ちた場合の希望してない委員に配属された時のガッカリ感が半端ない

指名されたことは良く、指名した理由が気になるのだと弁明すると

彼女は分かりやすく、胸をなで下ろした



｢いや、ちょっと恥ずかしい悩みなんだけど、｣



世一以外の男子で関わりあるの、山田くんくらいなんだよね、と

頬を掻きながら、苦笑いしていた

あー、と自分でも少し納得してしまう

彼女はモテはするが、男友達と言える人は見たことがないかもしれない

見たことがないだけかもしれないが、そもそも潔以外の男と

話しているところを滅多に見ないのだ

そこで去年も同じクラスで、席も前後、割と話す自分に落ち着いたらしい



｢やっぱり潔一筋だから？｣

｢んー……というよりかは、世一以外興味ないのかも｣



それはとんでもなく彼に一途であることだけを示し、

それを聞いてしまった自分は返答がわからず、

1人で勝手にときめいていた

そして彼女は、それに、と話を続けた



｢クラス委員の立候補理由もしょーもないよ

うちのサッカー部、強豪だから練習終わるの遅いでしょ？

それに加えて世一は自主練もするしさ、｣



その後、彼女は口を噤み、視線はグラウンドの彼へと向けられた

彼の理由→←ハートの手紙 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す