幼馴染が強すぎる【潔世一】

こういう時だけ？ ページ14

｢潔ってあんまり雪代さんに話しかけないよな｣

｢え｣



体育の時間、今週からバレーらしく、今は女子が試合中で

たまたま同じチームになった潔と雑談しようとすると

自然と雪代さんのことが出てきてしまう



｢いつも雪代さんから話しかけてるというか｣

｢あー確かに｣



本人もそれに同意し、彼は彼女に用がないと話しかけることは

ほとんどないと話した

逆に言えば、彼女は何も用がなくても休み時間には

彼の席へと飛んでいく



｢逆にそれについては？｣

｢えー…考えたことなかったな｣



1年の時から、なんなら中学の時からなのか、

それが当たり前のような感覚らしく、迷惑だと思ったことはないらしい

そんなことを話していると、女子のいるコートから、

噂の彼女が潔を呼ぶ声がよく響いた

彼女はコートから大きく手を振っており、

彼はひらひらを手を振ってそれに返した

俺も彼も、彼女の身体能力をよく知っているため、ハラハラしながら

彼女のレシーブする気満々の構えを眺める

何度かレシーブが続いたあと、相手チームがアタックしたボールが

彼女のいる所目掛けて勢いよく落ちていく

彼女もそれに対し、両腕を揃え、腰を落とし、

……腰を落として



｢あ、やb、｣

｢Aーーーっっ！！！｣
｢雪代さーーーんっっ！！！｣



しっかり腰を落としていたのは良い姿勢だが、

落としすぎて見事な顔面レシーブが決まった

皆がそれに驚き、心配している中、跳ね返ったボールは

相手チームのコートへと落ち、審判の男子は1点を追加する

彼女と同じチームの女子が声を掛ける中、俺の隣に座っていた彼は

いつの間にかコートへと入り、彼女の所へとすっ飛んでいた

男子はそれを見てヒュー、と声を上げ、女子はそれに対して

うるさい、潔を見習え、と声を上げる



｢A大丈夫か？鼻血出てるけど…｣

｢あーもう全然、慣れてるから｣



慣れているのか、と思ったが彼女の身体能力を考えると

よくありそう、とも思ってしまう

雪代さんは血も出ているため、このまま保健室に行くことになり、

潔が連れていくことになったらしい



｢立てないよ〜世一〜｣

｢元気だっただろ｣

｢あぁ〜軽い脳震盪かも〜｣

｢………｣



今度は女子の悲鳴が体育館によく響いた





＊





＊





｢潔、実は過保護？｣

｢いやいやいやいや｣

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