thunder【朔間凛月】 (ページ4)

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「凛月くん」

「こんな時間に何してるの。もうみんな帰った時間でしょ」

ゆったりとした歩き方でこちらに向かってくる彼の二つの赤い瞳は私の持つ衣装の入った紙袋に向けられた。

「Aまた衣装作り？ちゃんと休んでよねえ。血がまずくなっちゃうよ？」

「あはは…ちょっと帰るタイミング逃しちゃって…」

ふうん、と興味なさげに目を細めた彼は徐に私の顔を見て、「作業する場所、ないの？」と言った。
彼に事情を説明すると、

「なあんだ、捨てられた子犬みたいな顔してたのはそのせいかあ。」

「いや別にそんな顔してるつもりは…」

「目でわかるよ。…じゃあ、スタジオ来る？」

「…本当？邪魔じゃないかな」

意外にも協力してくれる凛月くんに驚きながらもそう聞くと「今日はレッスンないから～」と言って快諾してくれた。
スタジオも一応防音だったはずなので、ほっとすると同時に、一抹の疑念が生まれた。

「凛月くん、何かおねだり、ある？」

すると凛月くんは小悪魔めいた美貌で微笑んで

「ふふ、Aは俺のことよぉくわかってるねえ…♪じゃあ膝枕してよ。最近あんまりしてもらってないからさあ」

と言った。

「そんなことでいいなら、よろこんで」