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吹「……郷星さん、何か変わったね。
上手く言えないけど、柔らかくなった？」
主「色々と、柵を蹴り破ったからかもな」
感慨深い話はこの辺で切り上げておこう
これから先の問題は、本人が答えを見つ
けなければ解決しないことだ
他人が口を出せば、余計に分からない
主「明日の試合、雷門は確実に負けるだろう。
奴らは、自分達の力を示す為にお前達を
食い物にしようとしているだけだ」
吹「まだ、雷門には戻って来れないの？」
主「……いや、力もつけて体も元通りだよ。
だが、雷門は私を認めているのだろうか」
沖縄で正体を明かし、自分が何者なのか
彼らは理解したことだろう
自分達の学校を破壊した者達の仲間だと
分かった時、私に疑いを持っていた者は
明らかな敵意と軽蔑の目を私に向けた
それは、どれほど良い心を持っていても
当然の反応で、彼らには何の非もなくて
主「あの時、どうにかしてお前達を説得して
はぐらかしていたとしても、嘘をついて
騙すことになると思ったんだ」
何故離脱したのかを問われれば困るが
何か理由でもつけて騙しても良かった
だが、また騙すことになると思うと…
吹「…やっぱり、郷星さんは悪い人じゃない。
僕らのことを騙そうとしなかったんだから」
主「それに、今にも壊れそうなお前を見ていると
思い出すんだ。かつての仲間のことを」
自分がやるべきことが分からなくて悩み
殻に閉じこもってしまった仲間がいた
結局、キャプテン面だけの反面教師だった
吹「郷星さんはエイリア学園なんでしょ？
仲間がいるのにそれで良かったの？」
主「………」
吹「あ…、嫌なこと聞いちゃったよね…」
「気にするな」と返してやれば良かった
だが、嘘でもそう言えないほど辛かった
私が全てを壊して、仲間から全て奪った
サッカーに対する情熱や、先の未来まで
何もかもを滅茶苦茶にしてしまった…
主「……明日の試合、勝てるといいな」
絞り出した言葉はたったこれだけだった
少しくらい温かみのある言葉をかけろと
自分に言い聞かせてもダメだった
私は、心はいつまでも臆病者のままだ…
やるせない気分のまま、私はその場を去った
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作者名：美鈴愈 | 作成日時：2019年1月31日 15時
