鬼は微笑まない

◆２５◆ ページ26

違和感に気付いて振り返ると
赤い光が目の前まで来ていた
このままでは顔面を潰される

バァンッ

飛んできた光を弾き飛ばした
力強く腕を振るって軌道を変えた
着弾した先には生徒の声がしたが
こんな状況で気にしていられない

貴「視界が悪くて良かった」

自分の力を晒したくない派だ
戦闘を好まないのも色々あるが
何せ、戦うことが面倒なのである

目を細め、再び空を見上げると
僅かな煙の隙間から見えたのは
次々と空から降って来る男達だ
全員、戦闘に不向きなスーツ姿で

ザザザッ

すぐ近くで砂の音がした
一つではない、私を囲むように
数人ほどの気配が取り巻いている
人質として拘束でもするつもりか？

煙幕の向こうから伸びて来た手が
ガッチリと右腕を掴んで来る
そのまま首に手を回されてしまう
気絶させようと絞め上げてくる

貴「汚い手で触れないでください」

ゴシャッ

鈍く、気持ち悪い音が聞こえる
絞め上げていた男の目玉が飛び
頭蓋骨が肉から見えている
私が殺った、顔面を捻り潰した

貴「我ら柊家に逆らったこと
すぐに後悔させてあげしょうか？」

視力が飛躍的に上昇した私には
煙幕で隠れた男達が見えていた
鎖や剣などといった物騒な物を
全員が手に持っていた

女「殺さないで！お願いだから、
殺………いやぁああああ！」

男「な、なんだおまえ‥……こんな
ことしてただですむと思うなよ！
ここが、ここが『帝の鬼』直下の
学校と知っ‥……ぎゃぁああああ⁉ 」

平和ボケしているせいでこうなる
敵は用意周到に準備し完全武装で
一斉に襲い掛かって来たのだ
百夜教に先手を取られてしまった
最悪な状況になった、と目を細める

？【A、全員殺しちゃおうよ
薄汚い権力者って嫌いなんでしょ？】

私が耳を傾けることはない
少女が何を言おうと気にしない
もう、陥れられることはないのだ
そうなるように研究と訓練をした

？【あー、貴女って本当に化け物ね
精神的に辛いことをしても無駄
何をしても堕ちてくれなくなった】

悠長に話を聞いている暇はない
この劣勢を打開する手を練らねば
時が進んでも不利は変わらなくなる

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