鬼は微笑まない

◇１４◇ ページ15

〈選抜術式試験当日〉

選抜術式試験は朝八時から開始
場所は校庭、軍事訓練も出来る
広大な演習場だ

選抜術式試験は、各学年の
全生徒同士の勝ち抜き戦になる
そのため、一週間もの期間を設け
行われるのである

勝利条件やルールは簡潔である
監督官が勝ちだと言った方が勝利
監督官が能力が上だと思う方が勝利
殺してしまえば逆に評価が下がる
将来有望な人材を失うことは惜しい
そう考えての点だろう

監「勝者、一年九組・杉山みどり」

九組の女子が勝利したようだ
二組の男子生徒の首にナイフを
突きつけている

担「よっしゃあああああああああ！」

担任である愛内彩愛が叫ぶ
この声で生徒たちも賑わうが
私には雑音にしか聞こえなくて
騒がしいとしか思えない

九組には優れた生徒が集められ
他よりも強くなければならない
真昼がここに入れられなかった
理由は大きく二つあった
・双子は大抵の場合分けられる
・一瀬グレンがいるから

監「一年九組・柊A様、前へ」

監督官に呼ばれて前に出る
九組と二組の生徒達の視線が
一斉に集められるのが分かった
緊張はしない、ただ鬱陶しかった

男「…………棄権します」

男子生徒の発言に周囲は戸惑う
…………はずもなかった

彼の発言を皆当然のように思い
何かを述べる輩は一人もいない
私が、暮人の許嫁だからだろうか
私に攻撃すれば処分されると思い
何もしてこないのだろうか

貴「それが正しい判断だと結論づけた
貴方は、とても癪に障りますよ」

呪符を取り出し、戦闘態勢になる
これを見た男子生徒は焦りながら
抜刀して構えをとった

監「始め！」

監督官の合図で術を展開させる
戦闘に多く用いられる型のもので
相手の脳を冒して動きを鈍らせる
ほら、もう捕まえた

男「くっ……そ！」

動かない自分の体に苛立つことで
冷静さを失って行く
その自分の心理すら気づかない

貴「別に、評価など下がってもいい
私にとって貴方は見苦しいです」

懐から磨かれた短剣を取り出す
男子生徒は恐怖で顔が歪む
それでも体は動かせないのだから
更なる震えが全身を襲う

◆１５◆→←◆１３◆ 真昼SIED

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す