君しか見えない (ページ28)

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元太side

「今日は運動がてら歩いて帰るわ。
お疲れ様！」

マネ「わかりました。お気をつけて」

少し肌寒い夜風が疲れた体を包み込む

今日もレッスン漬けだったのに歩いて帰るとか俺ある意味疲れてるな

ツアーのレッスン

秋から始まる舞台の打ち合わせ

本当に毎日があっという間に終わる

歩いて帰るのも少しは運動になると思ったから

なんだかんだ自分ストイックだな

今日はやけに人混みの雑音が耳に刺さる

気づけばいつもは通らない静かな道に足が進んでいた

「ひっ…くっ…うぅっ……」

こんな遅い時間に

失恋？

正直こういうのにあまり関わりたくない

俺は見て見ぬ振りをした

「誰か助けてよ…」

振り向くと彼女は夜空を見ながら涙を流してた

月の光があたってとても綺麗なのに悲痛に思えた

弱々しい声なのにどこか力強い思いが伝わってきた

「大丈夫ですか…風邪ひきますよ…？」

これが俺と___との出会い。