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045.「おいで!」 ページ47

賢治君が持って来てくれた大判タオルで取り敢えず水気を取っていると、社の扉がばん!と開かれる。

ほんの少しデジャヴ的なものを感じつつも目だけ動かすと、今にも息が絶え絶えの太宰の姿が有った。

何時に無く太宰の必死な様子に少々引いていると、足早に此方へ歩み寄って来ては、しゃがんでいる俺の腕を力強く引っ張る。


「いっ……!」

「蓮君如何したの!? こんなビショビショで!?」

「あはは……
バケツの水を思いっ切り被っちゃってさ〜…
服の替えを太宰に借りたいんだけど……」

「おいで!」


尚も腕を引っ張って先を歩く太宰に内心キレながらも、表向きでは困ってる様に見せて引き摺られる様に更衣室の方へ連行される。

チッ。誰だよ、此奴呼んだの。
こんな処太宰に見られたら、過剰に世話焼きたがるから面倒くせえのに!

心の中で悪態を吐きながら、更衣室へ入る前に社内を見てみればニヤニヤしてる江戸川さんと与謝野さんが見えた。

……呼んだの与謝野さんかな。
あの人顔からしてSっ気あるもんなあ。
改めて思うのは、全く以って女の考える事は理解出来ないね。

最近感じる事は、何かと太宰は俺に対して過保護かって位心配してきたり、世話を焼いてきたり、誰かと話してて笑ってるだけで凄く干渉してくる。

如何云う心算なのか判らない。
決して悪く思われてないのは判るが、余りに露骨な態度で接しられても戸惑うし、何より俺にとっては胡散臭さが抜け切れない。

此の話を太宰に話したら『…そんな事、爽やかフェロモン腹黒王子の蓮君に云われたくないのだけど』と云われた。

無論一発お見舞いして遣った。
全く以って不名誉極まり無い云われようだ。

其の事を軽く思い出し乍ら、そして元々の濡れた気持ち悪さが相俟って更衣室に入った途端、真顔になった。

太宰はチラ、と其れを横目で確認しつつ自身のロッカーから服の替えを取り出して、俺に微笑んで手渡して来た。

小声で「…悪い」とボソッと呟くと太宰は「気にしなくて好いよ」と微笑して云う。

そして其の場で動く事も無く、じっと見つめられている。

いや、あのさ………


「何しれっと此処にいんだよ。出てけ」

「なんでー? 気にしないで着替えれば善いじゃあないか。 其れとも恥ずかしいのかい? しょうがないなあ〜私が着替えさせ」

「其れ以上云わせねえぞクソ野郎!」


俺に伸びて来る手を阻止、口封じに手を当てて、太宰を更衣室から追い出した。

最初から下心有り有りなのは判ってんだよ!

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2016年6月12日 11時

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