029.「襲撃か!?」 ページ31
うわあ、マジか。
こんな直ぐに見つけられるとは思わなかったが、絶好のチャンスなので隠れ乍ら写真に収める。
軽く周りを見渡して、他に怪しい人物が居ないか確認する。すると目に入ったのは『中原』の姿。
中原の目線の先には、封筒を受け取った主催者の議員。太宰の云う通り、彼奴も同じ議員を狙ってる可能性が有る。
そして俺は中原の視界に入らない様に、其の場から離れて遠くから様子を見る事にした。
様子を見てる間手持ちのバッグから衝動がする。中を開けてみれば業務用携帯に『国木田独歩』の表示が示されている。
少し会場から離れた人気の無い処で、携帯を開いた。
「……はい」
『久城か? 今太宰と共にいるのか』
「いえ。別行動していますが」
『…ふむ。先程太宰から連絡が有り、賄賂受け渡しの現場を目撃して議員の証拠を掴んだそうだ』
「えっ。其れなら自分も目撃したので写真に収めましたが……」
『太宰が云うには、お前の見張ってた議員は影武者だそうだ。故に太宰が見つけた方が本物で、既に
「“交渉済み”…? 其れは一体………」
俺が電話に夢中になっていると、途端に会場の方から硝子を破る凄まじい音がした。
直ぐ様会場から招待客の叫び声が響き渡り、出入り口に向かって大群が押し寄せている。
一瞬にして混乱した会場は華やかな雰囲気から一転、銃声の音が鳴り響く。
俺は携帯電話を片手に状況把握し、国木田さんとの通話を再開する。
『如何なっているのだ!!襲撃か!?』
「襲撃です!会場に銃声の音が聞こえるので、刺客が現れました!」
『直ぐに太宰と合流して議員を護れ!』
「__護る? 証拠を掴んだのなら…」
『議員を護るのは社長命令だ!兎に角逃げろ!』
「ッ……判りました!」
そして乱暴に国木田さんとの通話を切った後、太宰に連絡。ワンコール経たない内に出た。
「…太宰か。 今何処だ」
『会場裏の更衣室に議員と共に居るよ。マフィアの襲撃?』
「恐らくな。 黒服の男がぞろぞろと銃火器持って撃ち合いしてるよ」
『…中也は?』
「知らねえ。 国木田さんとの電話に気を取られて、見失った」
『そう。恐らく中也の差金だろう。君も其処に居たら危ない。疾く此方にーー』
太宰の言葉を最後まで聞く事は出来ず、会場の裏を走っていた俺の目の前に、黒服の男二人が行く手を遮る。
ヤバい、と思った頃には黒服の男に銃を向けられ、数弾此方に放たれていた。
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作者名:澪 | 作成日時:2016年6月12日 11時