甘い罠【まふまふ】

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*



あれから眠れない。




月明かりが部屋に差し込む中



布団に入って、潜っても
まぶたを閉じても眠れないのだ





さっきから感じる、このもやもやとした何かを取り払わない限り



安心できないのだと思う。







引き出しを開いて、
いろいろなものを探すけれど
特に何も見当たらない。



もしかして、私は
自分の記憶に関する何かを見つけられるとでも思っていたのだろうか。





もう、布団に入って、
忘れてしまおうと思っていたときだった



「痛っ…」



小さい本棚から
可愛いピンク色の手帳が足に落ちてきた



使ってたような使ってなかったような
手帳には、鍵が付いていた


自分がつけたくせに、開けるパスワードなんて一切覚えてなくて



仕方なく、鞄に入れておくことにした。





_____
*

*





次の日、昨日少し夜起きていたからか
眠いまま学校へ行った。





「A、おはよ！」




「…えっと…相川君」




「そう！」



「おはよう」



背後から、声をかけられて

一瞬、なんて呼べばいいかわからなくなる



相川君と呼ぶと、彼は嬉しそうに微笑んで
隣を歩いてくる



ふと、彼の胸元のネクタイに目がいく



「でも、相川君もネクタイ下手くそなんだね」




「ふふっ、Aが直してくれるんでしょ？」




「え…あ、うん！」





そういえば、私が前まで相川君だと思っていた黒崎君は


ネクタイちゃんと締めれてるのかな？

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