いただきますのページ ページ8
「精霊くん、連れてきてくれたんだね？ありがとう。
さぁ、エーミールさん。ご飯、食べましょうか。」
その声とともに、湯気が立つ料理に口をつける。
大皿に出して小分けにしたのはきっとまだ自分を疑っているエーミールさんに、毒が入っていないこと、ひいては自分に敵意はないことを伝えたかったから。
我ながらいい出来だ。美味しい。米にあう。
さすが私。伊達に一人暮らししてない。
やっぱ人のために作った料理の方が上手く作れるのか？
そんなことはおいといて、正面に座るエーミールさんは…と。
すごく美味しそうに食べてくださっている！
尻尾が揺れてる！！
会った時はすごく紳士で、優しそうだしかっこよかったエーミールさんが、満面の笑みでご飯を食べている！なんか…可愛いな…
そんなことを考えてると、エーミールさんと目があった。
em「リズさん！これすっごく美味しいですね！」
改めて褒められると照れてしまう。
顔に熱が集まるのを感じる。
「ああ、あ、ありがとうございます！
お世辞でも嬉しいです！」
em「いや、お世辞じゃないんですけど…」
その後も、ご飯がなくなるまでいろんな話をした。
近くにある町の話、精霊たちの話。
エーミールさんの旅の話。
ゾムさんという旧知の友人のこと、ちょっとめんどくさいツノのこと。
いろいろ苦労しているようだ。
そして、ご飯の後片付けが終わるとエーミールさんに呼ばれた。
em「さて、お話があります。
竜族が狙われる理由はお分かりのはずです。そして、しばらくこの町で私はある物を探さないとならなくて、近辺で休める場所、すなわち拠点が私には必要です。ですからもう狙われる可能性が低く、ここが最高の立地なので、ここに住まわせていただきたいのです。もちろん対価はなんでも払います。」
なるほど、別にデメリットはないね。
まぁ利己主義でもないし多少のデメリットはどうでもいいんだけどね
「そうですね、別に大丈夫です。対価は…、んーと…。そうだ！竜の里ではどんな魔法を使うんですか？魔法書はこの家に数冊ありますけどそれでも少ないので、竜の魔法を教えていただきたいです！」
em「そんなことでいいんですか？
わかりました。私の持つ知識を教えます。」
「あと、エーミールさんじゃなくて、
エミさんって呼んでいいですか？」
em「あまり呼ばれ慣れてないですが…いいですよ。」
ここから、彼との生活が始まった。
＿＿＿＿
「敬語やめません？」
em「癖なんで…」
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作者名：スパスィ | 作成日時：2021年8月12日 10時
