モノクロのページ ページ7
em side
美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
お腹が減っていたこともあってかすぐに
眠りから覚醒することができた。
外はすっかり夜や。どれぐらい寝たんやろ。
テーブルに服が置いてある。
申し訳なく思いながらも少しボロくなった服と着替えてリビングに移動し、リズさんに声をかける。
no side
em「服、ありがとうございます。
とても美味しそうな匂いですね。
何を作っていらしてるんですか？」
リズさんの視線が頭上に向いたのに気づく。
もしかして、魔法が…！
「エーミールさんは竜族の方だったんですね！さっき部屋で見ちゃいましたけど、そのツノ、とても素敵ですね！」
そう言われ、すぐに身構えてしまう。
em「あんたも俺らを迫害するんですか？
ただ少し薬の材料になるからってだけで！
どうせ俺の鱗狙っとるんやろ？！
精霊たちと仲ええあんたやったらすぐにでも捕まえれ「そんなことするわけないじゃん！」うぇ…？」
色素が薄い瞳が揺れる。
困惑しているようだ。
「そんなことするわけない。だって、一応私もちゃんと生きれてる。ちょっとした呪いを持ってるけど、今更治そうともしないし治せそうもない。
お金にはまだまだ困ってないしさ。
ほら。エーミールさんを狙う必要なんてどこにもないでしょ？」
リズさんは左腕を見せて笑いながら言った。
em side
それはそうや。もし狙っているならこんな呑気に夕ご飯を作っていないやろうし。
部屋に来とったんやったらその場でもう捕獲されとるし。
自分が馬鹿みたいだ。
em「少し、頭を冷やしてきます。すいません」
庭に出て、空を見上げて考える。
俺はアホや。
見ず知らずの野郎を家に泊めてくれはった。
しかも服まで用意してくれたのに。
もう少しここで頭を冷やそう…。
精「エーミール！そろそろいえにもどろーよー！リズおこってなんかいないよ〜！」
em「でも…」
精「でもじゃない！リズがごはんたべれないじゃん！そんなに言うんだったら
em「ちょっとまっ…！」
ボフン！
目を開けると、食卓に並んだ料理と静かに微笑んでいるリズさんがいた。
「精霊くん、連れてきてくれたんだね？ありがとう。
さぁ、エーミールさん。私、何もしないので。
ご飯、食べましょうか。」
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作者名：スパスィ | 作成日時：2021年8月12日 10時
