音駒の激強マネ

制服じゃなくてプライバシー ページ20

犬岡とA二人で軽く雑談をしながら歩き続け
目の前に学校が見えてきたころ。

「ん？」

誰かから連絡が来ていたことに気付き首を傾げた後

「先輩これって」

と携帯の画面をAに見せた。
画面には『動かしていい？』という
メッセージと、ある画像が写っていた。

「あっ。」

その画面を見て顔を青くしたAは

「ごめんなさい犬岡君。走ってもいいですか？」

と犬岡としっかり目を合わせ尋ねた。

「は、はい！！…あの、そんなにコレ(・・)触られたくないんですか？」

少し顔を赤らめながらも疑問を口にした犬岡。
Aは一瞬肩を揺らし動揺したようだったが
ニッコリと微笑み

「あは。行きましょう！」

そう言って犬岡の手を引いて走った。

「はっ、はい！！」

結局犬岡は理由も聞けず顔を真っ赤にして
Aに着いていくことしか出来なかった。

2分もせずに部室に着いたAは
犬岡の手を離し勢い良く扉を開ける。

「…っは、はぁっ…まっだ、触っ、て……ま、せんか、はぁっ、けほっ」

息を切らしながら話すAに

「ん。セーフ。」

と言いながら部室の鍵を手渡す孤爪。

「はぁっ、…あ、ありがとうございます。」

それを受け取り扉と内鍵を閉めてAは
動かしていいかと聞かれていたもの
つまりは制服に手を触れる。

暫(しばら)くして部室から制服姿で
出てきたAは犬岡に鍵を渡して

自分の教室まで向かった。

犬岡は急いで着替えを済ませると
三年の教室前へと走り

「クロさんいますかぁ！」

と大きめの声で尋ねた。

「うーん。少しボリューム下げような。
つか珍しいな。俺に用事って？」

少しニヤつきながら犬岡の元へ来て話す黒尾。
犬岡は声を潜め真面目な顔で黒尾に尋ねる。

「マネージャー、制服に触られるのよっぽど嫌そうだったんですけど…あれって何でですか？」

それを聞いた黒尾は

「え、何で俺に聞くの？」

と心底不思議そうな顔をして言ったが
犬岡はそれに対してはノーコメントだった。

結局

「プライバシーってか、ちょーっとお前には
刺激が強いことだから。」

と追い返されてしまった犬岡。
諦めて自分の教室まで戻ろうとしていたとき

「あっ！灰羽！」

灰羽を見つけ呼び止めた犬岡は
先程同様声を潜めどうしてAは制服を触られたくないのだろうかと尋ねた。

「知らねーの？マネさん、部活中に走ったりするからって理由で変えてるらしいぜ！」

その言葉に犬岡は首を傾げる。

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