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「ただいまー」
「……おかえり」
私が冷たく接してもニコニコと笑うお姉ちゃんの心がわからない
どうせ心の中では
引き立て役だとか
出来損ないだとかに思ってるくせに
「ねぇ、A聞いて!
今日ねクロがさー……」
よくお姉ちゃんは、部活の話をしてくる
そしてよく、『クロ』という名前がでてくる
その人に恋心を抱いているのかは、しらないけど
仲がいいのは、確かだと思う
確か研磨の幼なじみって言ってたっけ
話したことはないけど、特徴的な髪型だからよくわかる
「それでねー……」
「ごめん、絵描かなきゃいけないから」
「あ……
そっか、ごめんね」
お母さんの冷たい視線に気づいて、立ちあがり自分の部屋
……の隣りの部屋に入る
そこには、たくさんの絵の具と筆
水入れなど、絵に関するものだけ置いてあった
簡単に言えば、絵を描くだけのために作った部屋だ
中学校で美術の先生をしているお母さんは、私の絵を見て何かを感じたらしい
それから、なぜか絵を描いてばかりだ
絵を描くことが嫌いなわけではないから、苦ではない
でも、お母さんの目に
私ではなく
私の『絵』にしか目がいっていないのは、気付いていた
そして、私を使って自分が称えられたいと思っていることもわかっていた
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