76.上書き ページ29
朝食を食べに一階フロアに降りると、昨日まで顔面蒼白だったクレアが、いつも通りの顔色でクラスメイトに笑顔を見せていた。
よかった。あれだけ具合悪かったけど、良くなったんだ。
教師の言葉が気がかりだったけど、聞いたら聞いたで地雷を踏んで反省文書かされるだけだから口を噤む。
「クレアちゃん、もう大丈夫なの？」
「Aちゃん！うん、大丈夫だよ、ありがとう」
相変わらずの艶のある髪が揺れて、男子の視線が集まる。
その視線に割り込んで混ざって来たのは
「クレア！体調大丈夫か？？」
「エレン！だいぶ良くなったよ」
昨日のことが何もなかったかのように平然とクレアに話しかけた。
私、こんな近くにいるのに気にも留めないないわけ…？
「エレンが介抱してくれなかったら病院送りだったかも。ありがとうね」
「…おう」
照れ臭そうに笑う彼を見て、私はその場を通り過ぎる。
「隼人くん！」と入り口にいた彼にわざとらしく声をかけた。
女子の視線なんてもうどうでもよくて、堂々と「メール、ありがとう」と笑ってみせる。
「俺こそ、クレアを気にかけてくれてありがとう。元々彼女は身体が強くないからね。良かったよ」
「そうだね。力になれなかったけど、また何かあったら力にならせて」
「…ありがと、Aちゃん」
後ろにいる彼は、いまどんな目で私を見てるかな。
エレンの目も見ず、隼人くんを見て笑ってる私をどう思ってる？
そんなことを気にしてしまうのはまだ忘れたてだからだ。
パソコンみたいにいらないものをクリック１つでゴミ箱に捨てられるほど頭も良くない。
だからこうして必死に隼人くんを見て無理やり忘れようとしてる。
キスしたことも
行かないでと拒絶したことも
好きだと抱えた感情も
必死に記憶から振り払って頭を左右に揺らし
振り払っては流れ込む映像を必死に隼人くんで上書きした。
朝食の時も班行動の時も
隼人くんと天里となるべく絡むようにした。
私は意図的に、エレンのことを一度も見ることはしなかった。
エレンくんが一言
｢え？ミカサ？普通の家族だけど。お前？お前は･･･。内緒｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めるこ(プロフ) - パオパオさん» ありがとうございます！そうです、決してクレアのものではありません( *｀ω´)ぜひこのエレンを独占しちゃってください♪ (2018年10月13日 11時) (
レス) id: d8157e943f (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - エレンは私のもの！！…更新頑張ってくださいね！！ (2018年9月2日 23時) (レス) id: 9d2223bf2d (このIDを非表示/違反報告)
めるこ(プロフ) - reiponnさん» コメントありがとうございます！おそらく想像もつかないような展開になると思いますので、見守っていただけますと嬉しいです(o^^o) (2018年7月23日 19時) (レス) id: d8157e943f (このIDを非表示/違反報告)
reiponn(プロフ) - ああああああああああやめてえええええええ、クレアちゃんに興味示したらだめええええ泣ちょっと雅くん（＾ω＾）ちょっとお邪魔かな？うん（＾ω＾）この二人が幸せに結ばれますように！！更新頑張ってください！ (2018年7月15日 17時) (レス) id: 61a6d8b17c (このIDを非表示/違反報告)
めるこ(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます！はい、頑張らせていただきます(T ^ T) (2018年5月29日 16時) (レス) id: d8157e943f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めるこ
| 作成日時：2014年1月17日 22時
