26.本当は ページ26
私は鶯の隣に腰掛けて、風に揺れる短冊を眺めた。
A「短刀ちゃんたちなんか、はきりって1人5枚も短冊を書いていました。あれじゃあ神様も大変ですよね…。」
鶯丸「ははっ…その光景が目に浮かぶ。__主は何を書いたんだ?」
鶯の言葉に心臓がドクンと跳ねた。
だって、こんなの言えるわけない。
……神様だって、叶えてくれるはずのない酷い願いだもの。
A「……私は書いていないんです。だってほら…!あんまりいっぱい短冊があると神様が大変だから…っ……。それに……私は今のままで幸せだから…。だから大丈夫なんです…!」
うそ。
誰よりも残酷な願いを叶えて欲しいって願っている。こんな綺麗な嘘ばかり並べて…
鶯丸「__君は欲がないんだな。でも、君らしいな…。そういうところが美徳だと言える。」
A「……っ…」
もうやだ
そのちっとも疑おうとしないところ。
私だって嘘をつくのに。
でもね
本当は
本当は
あなたの前で嘘なんかつきたくないんだよ
綺麗な私でいたいよ
私らしくいたいよ
今までずっとそうしてきた。
そうできていた。
それなのに、あの手紙を読んでから私は__
涙の代わりに風鈴がチリン…と悲しそうな音を立てて揺れた。
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