27.縁談 ページ27
鶯丸「__A。」
優しい声で名前を呼ばれ、こらえていた涙がこぼれ落ちた。
A「は、い………」
鶯丸「よしよし。」
鶯は何も聞かずに優しく私を抱きしめた。
その時に思った。
__あぁ、私はこのひとの側から離れたくない。
鶯丸「泣きたい時は泣け。最近の君は笑っていても心の中では泣いているようで心配していたのだ。」
そんな…見抜かれていたなんて
7月だというのに冷たい夜風が吹いて、着物のたもとから1枚の短冊がひらりと落ちた。
それを鶯に見られてしまう
める「……!そ、れは…っ……!」
神様にだって見せないと決めた願い事。
___神様、どうかこの縁談が破談となりますように。
鶯丸「……縁談?__結婚…するということか…?」
A「……はい。」
お母さんからの手紙。
それはお見合についてだった。
知られたくなかったのに。
私は素直にうなずくしかなかった。
鶯丸「相手には会ったのか?」
A「…いえ……。相手は家の人が決めるものなので、私はほとんどその話には関わらないんです。…勝手に決められてしまい、近々、お見合で会う予定です…。」
それが古くからの家の決まりだった。
だから、お母さんもおばあさんも恋愛結婚なんてしていないのだ。
鶯丸「__なら、会って話してみないと分からないぞ。案外君の気に入る男かもしれないしな。」
……何で、そんな冷静に言うの?
どうして笑いかけるの?
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