20.ガラスの簪 ページ21
鶯丸「＿＿こんなに可愛い主を残して誰が死ぬものか。」
鶯はそう言って私を抱きしめる腕に力を入れた。
そして、優しく髪を撫でてくれた。
A「＿＿！！」
鶯との距離にさっきから心臓がどくどくと音を立てて鳴り止まない。この音が彼に聞こえてしまうのではないかと心配になるくらいだ。
A「……」
鶯丸「……」
A「あの…鶯……そろそろ……み、皆に誤解されてしまいます……」
鶯丸「＿＿そうだな……悪い。」
いつまでもこうしていられない…
そろそろ食事当番の子たちが起きるころだ。
布団から体を起こす。そこで、袖の中にしまっていた箱の存在を思い出した。
A「…！鶯…これ…！ありがとうございます。きちんとお礼を言えていませんでしたね。」
鶯丸「あぁ…。君に似合うと思って。気に入ると良いんだが…。」
みんながくれる物なら何でも嬉しいに決まっている。青い箱を開けると、花や鳥が飾られた花簪が入っていた。
A「＿＿わぁっ…これ…ガラスでできてる。とっても綺麗……。」
ガラスでできた簪なんて初めて見た。
鶯丸「簪はその鋭さから護身用の武器にもなる。もしもの時はこれで＿＿」
A「嫌です。だって、鶯がくれた大切な簪だから……傷をつけるようなことはできません。大切にしまっておきます^ ^」
それに、もしもの時ってどういうこと？？
鶯丸「えっ……まぁ…武器になるというのは置いておいて、簪は髪に飾るものだ。だから、できれば君にも使って欲しいのだが。＿＿貸してみろ。」
鶯は簪を手に取ると、私の真後ろに正座する。
鶯丸「髪を梳いても良いか？」
A「は、はい…//」
男の人に髪を梳かれるのは初めてだ。
鶯丸「……綺麗な黒髪だな。いつも結っているからこんなに髪が長いだなんて気づかなかった。」
A「ふふっ……髪は女の命だからって母が。だからお手入れも丁寧にしているつもりです。」
だから…褒めてもらえて嬉しいな
鶯丸「そうか、君の母上が…。＿＿＿＿ほら、出来たぞ。」
鏡を取り出して自分を映す。窓から差し込む太陽の光に、簪がきらりと光った。
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