12.罪悪感 ページ12
モモコ「せんぱーい！飲んでます？」
モモチャンがわたしのグラスを指さして口を尖らせる。
A「え？飲んでるよぉ。」
と、言ってみるけど、さっきからグラスの口を指でなぞってばかりなのはわかっていた。
わたしはズルい。
ナオと、翔クンの会話をするのが恐くて嘘をついて
嘘つきになりたくないからモモチャンを誘ってご飯を食べている。
これでわたしは友達を騙してないって？
こんなのただのイイカッコしいの偽善者だよ。
ナオに嫌われるのが恐い？
翔クンからメールが来なくなるのが恐い？
たぶん、どっちも…。
モモコ「ちょっと、トイレ行って来まーす。」
そう言って、モモチャンが席を外すとまた携帯が気になって、携帯をバッグから取り出す。
やっぱり来てないよね。
わかってるんだけど見ちゃう。
そしてガッカリする。
わかってるんだからガッカリするのはおかしいけど、やっぱりどこかで期待してたんだと思いしらされる。
すっかり氷が溶けて薄くなったアマレットをひとくち飲むとモモチャンが帰ってきた。
しばらくモモチャンの彼の話や園の話をしていたら、
モモコ「ところで先輩？」
モモチャンが急にわたしを見てニヤリとした。
A「ん？」
モモコ「先輩やっぱりカレシが出来たでしょー？」
と、ニヤニヤしてわたしを指さす。
A「えー？いないって。なんで？」
モモコ「じゃあ…、誰からの連絡待ってるんですかぁ？」
わたしに向いていたモモチャンの指がテーブルの端にある携帯を指さした。
A「あ、え？こ、これは…、時間見ただけ！」
慌てて携帯をバックにしまうと
モモコ「ふーん？でもなんっか、最近携帯ばっかり気にしてません？」
A「そ、そんなコト…。」
モモコ「ないって言えます？」
モモチャンの大きな目がぐぐっと近づく。
その目ヂカラなんなの？
弱いんだよー。
モモチャンの目…。
A「……き、気になる人は、いる…かな？」
モモチャンの目に捉えられて思わず口を開く。
口にしたと同時に自分の気持ちに気づく。
その時、浮かんだのはナオの顔だった。
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作者名：茉莉
| 作成日時：2012年11月23日 23時
