No.25 ページ26
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Aを呼び、一歩一歩距離を詰めた沖田は2mほど間を開け、立ち止まると再び口を開いた
「…お前は、そんなに金が大事かィ」
『あぁ、大事だね』
彼女の返答に沖田は悲しげにため息をつき、自身と同じ色をした瞳をもう一度しっかりと見つめた
「どうしてテメーはそこまで金に執着すんだよ、たった1人の家族と接する事がそんなに嫌か」
問いに対して無言の彼女にさらに聞く
「……いや、違ェか…これまでずっと弟につっぱってたもんだからどうすりゃ良いか分かんなくて怖ェんだろ?…なあ、違ェかよ
軍人さん」
『…はっ…黙って聞いてりゃ勝手な憶測をドヤ顔でペラペラペラペラと』
本ッ当にムカつくやつだ、と言いながら腰のホルダーに止めていた拳銃を彼に向け、
※安全装置(セーフティ)とは
恐らくほとんどの銃についているでしょう、間違って仲間を撃ってしまうなどの誤射を防ぐためのものでございます
「おいおい、
ただ鋭い眼光で睨みつけてくるA、この二つの行動で彼が言ったことが図星であるのがハッキリとした
「今俺にそんなモン向けてっけど、同じ事悠真が言ったとしても突きつけれんのかそれを」
『悠真に向けれるわけないだろ…!』
「じゃあ何で俺なら良いんでェ」
『…』
俯き加減で銃を下ろす彼女にこう続ける
「テメーは冷てェことばっかしてっけど、心の何処かで弟を大切にしてえと思ったんじゃねーのかィ…じゃなきゃさっきのカッとなった勢いで俺と一緒にアイツも殺していたかもしれねーだろ?
でも、それをしないってことは…俺が言わねえでも分かってんだろ?A」
銃をホルダーにしまったのを確認した彼は彼女に歩み寄り、そっと抱き寄せた。
そして、微かに震えていた背中をポンポンとリズムよく叩き、落ち着かせていく
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作者名:いちご牛乳 | 作成日時:2016年10月2日 22時