【ヒプノシスマイク】姐御のお通りだ

Stage.4 ページ4

side:45 rabbit









左馬刻の事務所でバトルについての打ち合わせをしに来たのだが、何でか呼んだ張本人がソファで堂々と惰眠を貪ってやがった
こちとら仕事で碌に寝れてねぇっつーのに、どういう神経してんだこのチンピラは…

叩き起こして怒鳴り散らしてやろうかと顔を覗いたが、俺の中の怒りは一瞬で消えた





「…は……？」

「…ッ、……姐御…」





泣いている、あの左馬刻が…

傍若無人で横暴で独裁者のあの左馬刻が丸まって泣いている姿なんて誰が知っているだろうか
少なくとも舎弟の連中は知らないだろうな
知っていたら俺を部屋に通さなかっただろうから

それにしても、"姐御"って極道の間での目上の女性への敬称だよな？
コイツの周りにそんな女は居なかった筈だが…
ひょっとしたら、過去に抗争か何かに巻き込まれちまったのか……

憶測だけ先走っても何も得られないのは分かっているので、いい加減このデケェ子供(ガキ)を起こすとするか





「おい、おい起きろ！左馬刻！」

「！……んぁ？」





頬を濡らしながら顔を顰める左馬刻だが、自分が泣いていることに気付いた途端大人しくなった
本当に一体どうしたんだ？コイツ…
大人しいとそれはそれで後が怖ぇんだよ

いつもと違う左馬刻に不気味さと同時に興味も沸いた
狂犬の名を持つコイツを子犬にしちまう女とは一体何者なのか



左馬刻の口から聞き出した情報はどうやら子供の頃のようで、今から13年も前の話になる
それだけでも驚愕だが、あの左馬刻が実の妹以外に見せることのないであろう顔をしていることに大口を開けて驚きたい

何だその顔は、お前は捨てられた子犬か！
クソッ、垂れた犬の耳と尻尾の幻覚まで見えやがった！
駄目だ、今日は真っ直ぐ帰ってさっさと寝よう

勝手に落ち込んでいる左馬刻をそっちのけに俺は家に帰宅した後のことに思いを馳せた









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