【ヒプノシスマイク】姐御のお通りだ

Stage.14 ページ14

side:45 rabbit









はぁ〜〜…ッ、ヤバい
何がヤバいって、この女(ひと)の懐の広さもそうだが、何より甘やかしっぷりがヤバい

左馬刻とは昔からの間柄で、言わば義理の姉と弟だ
幼少の頃の環境が劣悪だった左馬刻にとって彼女はかけがえのない存在であり、唯一甘えられる人なんだろう
煌夜さんもそれを分かっててなのかは知らないが、左馬刻の甘やかし方が絶妙だ
夜の女じゃ左馬刻にこんな顔させることは不可能だろうな

けど、問題はそれだけじゃなく…





「入間、ヨコハマ署だとあの―――が頭じゃねぇか？アイツ、お頭(つむ)が悪い癖に身の丈に合わねぇことしでかすだろ」

「本ッッッ当にそうなんですよ！何度私が隠蔽工作したことか…！！」

「苦労してんなぁ、入間も…。お前は頑張ってるよ」

「あ〜〜…、煌夜さんの優しさが沁みる……」

「銃兎ズリィ！姐御、俺だってこの間なぁ！」





この女(ひと)、会って間もない俺や理鶯まで懐柔しやがるんだよ！！

何だよこの羽毛で包まれてるような優しさは！
左馬刻が嫉妬して噛みついてくるが、お前はこれからも散々甘えまくるんだろうが！
俺は限られた時間しか会えねぇんだから少しは譲れや！！
てか理鶯、そんな子犬みてぇな目で煌夜さん見てんじゃね…って気付いちまったじゃねぇか！！





「毒島も、海軍の復活を待ってるんだよな。心身共に鍛え続けるたぁ、漢だな」

「そうか…」

「偉いぞ」

「ん……」





あー、もうこれは駄目だ、完全に落ちた
理鶯から犬の耳とブンブン振ってる尻尾が見える

左馬刻が心酔するのも頷けるわ
この人、カリスマ性もあるが…それ以上に母性や父性が凄ぇ
いつか所帯持ちになって子供出来たら、絶対良い親になるって…





「姐御ぉ〜…もうどこにも行かねぇでくれよ〜…」

「行かねぇよ、左馬刻。俺の家はこの国だけだ」

「ん゛〜…」

「たっはは！こりゃ完璧に潰れちまったな。入間、毒島、そろそろ帰るか」

「そうですね、そうしましょう」

「馳走になった。今度は小官が貴殿に料理を振る舞おう」

「え゛、り、理鶯？その料理の食材は……？」

「森で獲ろう。新鮮な食材は料理において欠かせないからな」





マズいマズいマズい！
もし理鶯のゲテモノ料理を食べて、煌夜さんに万が一のことが起きたら…！

酒で火照っていた俺の身体が、氷水をぶっかけられたように一瞬で冷えた









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