２年は明日も元気です【白鳥沢】

救えなかった。 ページ15

午前の部は何とか平和に過ぎ去り、


お昼の休憩の時間がやってきた。



「Aちゃんを一番愛してるのは誰だぁー！！！」



タラコおにぎりを片手に叫ぶA。


この衝動はどこから来るのだろうか。



「俺だろ」


「いや俺だし」


いつもの仲間が名乗りを上げた。




その、白布の手には、ダンゴムシ。

川西の手には、トンボ。



「もので釣ろうったってそうはいかないんだからね！！！」



それで釣れるお前もどうよ。


五色工は後輩ながらに思った。


最近自分の心の中が２年の皆さんに辛辣になっていっている気がする。



「合宿なのに、アイツら変わんねーんだな…」


瀬見英太は頭を抱えた。


五色工はそれに心の中で頷いていた。


「あの、梟谷の副主将の……赤葦さん？でしたっけ。


あの人も苦労してますよね……」


「中学校３年間って言ってたもんなー」



やいのやいの騒ぎ続けている２年を眺めていると、

そこに件の２年が近づいていくのが見えた。





「一番は……俺に決まってるだろ？」



あれ、赤葦京治さんですよね。

何やってるんですかあの人。



その手には、クワガタムシ。




あの人も染められてしまったのか。





「Aが一番好きなムシは、クワガタムシだろ？


フッ……３年間のキャリアなめんなよ？」



A先輩の影響力ってすごいなと思いました(五色談)

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