記憶6 ページ6
ささっと東京を出たのは、今だったら中也は東京に居ると思たからだ
誰かに遭う確率を少しでも下げたかった
とは言え彼はどうして東京に?
そんな疑問を抱え、横浜に着いた私は、坂口さんが用意してくれたホテルに向かう
問題の異能力者使用したと思われるホテルらしい
取りあえず、此処も調査しろと言う事だろうか
まずは従業員さんに話でも聞くか
そうして、話を聞いたりしている内に、外は暗くなっていた
ロビーから外を眺めながら、昔の事を思い出していた
治と付き合い、記憶喪失になって、中也と付き合ったこと
その間に、沢山の人にお世話になった
武装探偵社の皆さん、ポートマフィアの皆さん
両社は敵同士なのに、私は二つの組織と知り合っていて……
そして今は死人と言った処だろうか...
私は、実際死にかけて、周りでは死んだ事になっているのだから
はぁ、と溜息を吐いた
「溜息は幸せを逃がすよ?」
隣に座って来た人が急にそんな事を言う
ん?
今はロビーに居る人も少なく、他に空いている席は沢山ある
何故私の隣に...?
そう思い、隣を見た
何故この時見てしまったのか、この後、後悔する事を私は知らない
「っ!?」
思わず絶句した
だって、隣に居たのは、さっきまで考えていた(他の皆も思い出していたが)治だったのだから
「どうしたんだい?」
治は普通に私に声を掛ける
「いえ、別に。溜息は自分を安定させる為にはくものですから、幸せは逃げませんよ?寧ろ身体に良いものなんですから、幸せを呼ぶものかも?」
「確かに!」
そう言って、治はニコニコする
逆にその反応が私を不安にさせる
この反応は全て態となのだろうか
彼はとても怖い
未知なのである
「君は面白い考えをするんだね」
「そんな事無いと思いますよ」
「そうかなぁ」
彼が此方を見るものだから、思わず前を見ながら話してしまう
素っ気無さすぎるだろうか
否、仕方ない筈だ
勝手に人の所為にしていると
「どうして此方を見てくれないのかい?」
「人見知りなんです...」
正直、そこまで人見知りでは無い
だが、ここは嘘を付いてでも、素性をバラしてはいけない
「それは済まなかったね。では私に慣れてもらう為に……」
ちょっと待て、慣れてもらうってなんだ
初対面だぞ、一応
そう言った彼は私の頬を包むように添え、自分の方へと顔を上げさせされる
思ったよりも顔が近い
自分でも顔が赤いと分かる程顔が熱い
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