幸福の蕾4 ページ23
普通はお色直しの時に、着物を着ると時間が掛かる為余り着る人は居ないらしい
最初に着てドレスという形を取らなかったのは、ウエディングドレスに込めた思いと、
どうしても青いヒヤシンスの絵柄の着物を着たいが為にお色直しで着た
両親に向けてのメッセージだけでなく、『変わらぬ愛』という意味を旦那となった
中也に向けて着たかったのだ
今も昔も、そしてこれからも永遠に貴方を愛します
それの返答なのか、彼の胸には青いヒヤシンスの花が胸に添えられていた
態々、お色直しをして登場する前に、胸ポケットの花を指差しニッコリ笑うもんだから
赤面してる事が嫌でも分かる
何故、登場する時に真っ赤にさせるかな
これじゃ中に入れない
お返しに一言いう
「愛してる」
と言う言葉と共に扉が開く
「俺もだよ」
とボソッと口に出された言葉は隣に居る私には聞こえた
中也の顔も赤い
こんなにも奇妙な事はあるのだろうか
披露宴のお色直しの時に、新郎新婦の両方の顔が真っ赤に染まるという事が
勿論扉は開かれた後なので、赤面している両者の顔は見られている
ひそひそと聞こえる声には、「お色直しをしている間に何か遇ったんだろうねェ」
という声も聞こえた
与謝野女医の言葉としか思えない
その返事にナオミちゃんが「そうですわね」と嬉しそうに二人でニヤ付きながら言うものだから溜まったもんじゃない
まぁ二人が何時も通りにこう言ってる感じはとても安心出来る
今まで関わって来た皆が居る
何時も通りのようであって、そうでない
こんな幸せがずっと続いていくのかは分からない
それは私や中也、此処に居る全員が普通ではない職業に就いている故に危険が伴うから
だが、例え一般人だったとしても、必ず生きていけるという保証はない
今をたいせつにしよう
そう思える一日だった
この幸せを一分、一秒でも長く感じていたいから
一緒にこの時間を噛みしめたいから
どっちかが早く死んでしまうというのは同じ場所で何かが起こらない限り変わらないだろうけど
そんな事は今はどうでもいい
少しでも一緒に居て、幸せな人生になるのならそれで良い
私だけじゃなくて、貴方自身も幸せであるならば、それはこれ以上ない幸せ
私のこの思い、願いを乗せた幸せな時間は瞬く間に過ぎていき、結婚式は終わりを告げた
疲れ果てて、家に着くと眠気が襲った
もう寝るか？という中也
軽く返事をし就寝準備をした
今日は良い夢が見られそうだ
夫となった彼の腕の中で眠りに落ちた
続く (更新停止中)
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