【銀魂】真選組監察方の紅一点【山崎退成り代わり】 (ページ42)

今日:31 hit、昨日:6 hit、合計:55,615 hit

あんぱん捕物帳＊其ノ七ページ42

「…ご協力感謝する」

まだ少し複雑な表情をしながら、土方さんは感謝の言葉を述べる。

「イエ…Aサンノタメナラ、火ノ中水ノ中ナノデ」

そう言えば、何で片言？
って思ったけど、普段の口調じゃすぐバレるか。

私は、握手をしている2人を眺める。

…握手…だよね？
なんか、握力でお互いの手を握り潰そうとしてるように見えるの、私だけかな！？

ええ…何この険悪なムード…

まあでも、とりあえずバレなくて済みそうだ。
と思っていたら、土方さんに「ちょっと来い」と呼ばれてしまった。

「オイ、隣の部屋の奴…」
あ、やっぱりダメかもしんない。

「…いつの間に仲良くなりやがった」

『……はい？』
これは…気がついてないっぽい？
というか…

『なんで怒ってるんですか？』

「あァ？別に怒ってねェよ」

『怒ってますって…！！』

何年土方さんと一緒に仕事してると思ってるんですか。
貴方が機嫌悪いのなんて、お見通しですよ。

と伝えると、土方さんは舌打ちして頭をガシガシ掻いた後、私の手を掴んで言った。

「帰るぞ」

『えっいきなり！？』

『部屋に私物とか置いたままなんですけどっ』

「報告書あげてから取りに行きゃいい」

『でも、大家さんにも挨拶しなきゃですし…』

私はチラッと万斉のほうを見る。
ウサギの被り物で表情は見えないけれど、多分なんか怒ってない？

私には向けてないみたいだけど、殺気のようなものを感じる。
その矛先は、恐らく…

『土方さんストップ！』

「あ？」

私の手を引いて先を行く土方さんに声をかける。

立ち止まってくれた彼に、
『再度、お礼だけ言わせて下さい』と言って手を離してもらうと、私は万斉に駆け寄った。

そのまま、ギュッと万斉の両手を自分の両手で握る。

「A殿…？」

少し驚いたように、万斉がいつも通り、でも私にしか聞こえないくらいの声で、私の名前を呼んだ。

『協力してくれてありがとう。その…また、ね？
(今度、埋め合わせはするから！)』

後半は口パクでそう言うと、私はまた土方さんの元へ駆け出した。

慌ててたから気が付かなかったけど、
この時の私はとんでもない約束をしてしまったと、後々後悔することになる。